2017年11月23日(木)

創業2年目のカウリス、出井氏と組み世界の「黒子」へ

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ネット・IT
IoT
2017/11/8 13:19
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 サイバーセキュリティーベンチャー企業のカウリス(東京・千代田)は8日、元ソニー社長の出井伸之氏が社外取締役に就任したと発表した。同社は創業から2年足らずでソニーやトヨタ自動車など大手企業と相次ぎ組む。アジア各地とつながる出井氏と組み、あらゆるのモノがインターネットにつながる「IoT」時代のインフラを目指す。

出井氏が社外取締役に就任した(8日、東京・千代田)

■顧客にメガバンクや大手通信

 「すべてのデバイスにネットがつながる世の中で、セキュリティーのインフラになっていく」。都内で8日に記者会見したカウリスの島津敦好社長は、高らかに宣言した。世界戦略に向けて新たに幹部に就任したウーバー日本法人社長を務めた塩浜剛治副社長と出井社外取締役は、舞台脇から温かく島津氏を見守った。

 島津氏が起業したのは、2015年12月。創業わずか2年足らずで顧客にメガバンクや大手通信会社が並ぶ。ソニーのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が出資し、トヨタは新サービスを共同開発する相手として選んだ。強みはどこにあるのか。

 提供するのは、不正アクセスを検知するシステム。ウェブサイト上での行動や使っているデバイス、ブラウザーなどから「本人らしさ」を判定する。普段の動きと異なり危険と判断したときだけ追加認証を求めるため、利用者の利便性を犠牲にせずにセキュリティーレベルを高められる。

 カウリスの社員数はわずか10人強。「本人らしさ」の判定はすべて人工知能(AI)で担い、運用を完全に自動化している。人手に頼らないため、「他社に比べ費用は圧倒的に安い。ある事業者の相見積もりでは、コストが100分の1だった」(島津社長)。

 さらに様々な業界から集まる、悪質なハッカーの情報を「ブラックリスト」として共有するシステムも提供する。各業界の認証履歴を共有し、「悪い人のリストを導入企業みんなで作り上げる感覚」(同)。利用者数が増えるだけセキュリティーのレベルは高くなる。安価でセキュリティーを担保できるシステムとして評価が高い。

■IoT時代に「本人らしさ」認証

 出井氏以外の経営陣にも注目が集まる。島津社長は京大卒でドリコム、日本人が立ち上げた認証技術の米スタートアップCapy(キャピー)を経てカウリスを設立。当初からグローバル展開を視野に入れてきた。イスラエル、中国など最新のセキュリティー事情が集まる拠点にも足しげく通う行動派トップだ。

 副社長を務めるのは塩浜氏。A・T・カーニーやアクセンチュアを経て、米ウーバーテクノロジーズの日本法人社長も務めた人物だ。数多くの投資先スタートアップを上場させてきた有力ベンチャーキャピタル(VC)の投資担当者は「流行の技術やサービスでビジョンを語る最高経営責任者(CEO)は多い。実際にビジネスを着実に伸ばせる経験豊富な人物がついてチームとして機能するかがスタートアップにとって重要だ」と語る。

 カウリスが見据えるのは、サイバーセキュリティーの意識が高い金融業界を入り口として、あらゆるデバイスに入り込む未来像だ。車や家電などあらゆるモノがネットにつながるIoT時代に、「本人らしさ」を認証するセキュリティーシステムとして黒子のようにあらゆる機器に普及させる青写真を描く。

 国内での利用拡大にメドが立ち、来年には現地法人設立など本格的に海外展開へと踏み出す。海外要人とつながりを持つ出井氏を「飛び道具」のように活用できるか。急拡大のカギを握る。

(企業報道部 岩戸寿、加藤貴行)

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