2017年11月24日(金)

デング熱の蚊 駆除まかせて

ヘルスケア
2017/11/8 6:30
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 薬局運営などの九州メディカル(北九州市、波多野稔丈社長)はデング熱をもたらすネッタイシマカの駆除剤「モスノン」を開発し、9月にインドネシアで試供品の提供を始めた。屋外の浴槽など水に入れ、人体に無害の成分で死滅させる。実験では9割を超す割合で駆除できており、店頭で販売するとともに自治体の入札に応札していく。

インドネシアで実施した実証実験で、水浴び用の浴槽にモスノンをいれる住民

インドネシアで実施した実証実験で、水浴び用の浴槽にモスノンをいれる住民

 「モスノン」は水の中で発泡してネッタイシマカ、ヒトスジシマカの幼虫を死滅させる。水200リットルに1錠あれば効果は2~3週間持つ。成分は同社研究チームが鹿児島県西表島のマングローブ林から偶然採取した微生物から取り出した。化学薬品を使わず、水環境を汚染しない。万が一、成分が溶けた水を飲み込んでも問題ない。

 同国ボゴール農科大学の実験で、200リットルの水槽の数百匹の幼虫のうち9割超が6時間以内に死滅した。同社はスラバヤ市の250世帯で1週間に1回、屋外の浴槽に入れてもらう実験を進め、2カ月後に99%の家庭で駆逐されたと確認した。

 小売店で試供品の提供を始めており、時期は未定だが小売り店で10錠入り、200錠入りを発売する見通し。1錠あたり約40円とする。

 自治体の保健局にも採用してもらうため、11月から行われる競合入札に応札。落札できれば2018年の雨期から各地で使われる。シンガポールやタイでも駆除剤として申請しており、インドネシア西ジャワ州にある月産能力50万錠の工場から供給する。

 同社によると、16年のデング熱患者数は14年の約10万人から倍増し、約20万2000人にのぼった。世界的に見て感染率が高い地域だ。

 最大の要因は水浴び文化にある。家庭では一般に水浴び用の浴槽「マンディ」が屋外に置かれ、シャワー代わりに使われる。雨水をためる場合が多く、雨期に蚊が卵を産みつけ、幼虫が大量発生する温床となる。

 同社によると、デング熱対策に使われてきた殺虫剤は化学品を使うものが主流で、水にいったん溶かす必要があるなど手間がかかった。非化学系の駆除剤はあるが、効果が弱いという。

 モスノンはマンディや水たまりに錠剤をいれるだけで済む。同国では蚊の繁殖時期に自治体の保健局の職員が殺虫剤を散布するが、モスノンは一般家庭に配って住民自身の手で防蚊が施せる。

 中南米を中心に感染が広がるジカ熱の対策にも有効だ。すでに南米の企業から問い合わせがきている。

 波多野社長は「世界保健機関の調べでは世界人口の半数近くがデング熱感染のリスクがあると言われる。蚊を幼虫段階で駆除することで、世界中の感染者を減らしたい」と語っている。

(企業報道部 平嶋健人)

[日経産業新聞2017年11月8日付]

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