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米、FTA見直し引かず 首脳会談 韓国は不満解消へ武器輸入

【ソウル=鈴木壮太郎】7日にソウルで開かれた米韓首脳会談で、トランプ米大統領は文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、米韓自由貿易協定(FTA)の早期見直しを改めて要求した。トランプ氏にとって貿易不均衡の是正は国内の支持者をつなぎ留める譲れない一線。これに対し韓国は米国からの武器輸入拡大で対米貿易黒字を減らすカードを切り、米国の不満緩和をねらった。

「いまの協定は成功していないし、米国にとって良い協定ではなかった」。首脳会談後の共同記者会見で、トランプ氏は米韓FTAについて、こう言い切った。会見全体を通じて韓国とのパートナーシップの重要性を強調し、配慮を見せたトランプ氏だったが、こと貿易に関しては率直に不満を表明した。

米韓FTA見直しは今年6月、トランプ氏がワシントンでの米韓首脳会談で要求した。米韓FTAで対韓貿易赤字が2倍に膨らんだとして、再交渉が必要だとの主張だ。

これを受け、米韓の交渉担当者は8月、ソウルで特別合同委員会を開いた。韓国は米国の対韓貿易赤字とFTAは無関係と主張。改定交渉には応じないと突っぱねた。

だが、9月に韓国の姿勢が一変する。交渉責任者が訪米して米国の政官財界関係者に接触したところ、米国が米韓FTAの破棄まで真剣に検討していることがわかったのだ。米国の本気度を悟った韓国は10月、米国の要求を受け入れ、改定交渉入りの手続きに着手した。

2016年の米国の対韓貿易赤字は232億ドル(約2兆6500億円)と、米国の貿易赤字国としては8位。首位の中国や2位の日本に比べれば大きくはない。それなのになぜ米国がここまで米韓FTAにこだわるのか。

「米国にとって米韓FTAは北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を有利に進めるための交渉カードだ」。通商問題に詳しい安徳根(アン・トクグン)ソウル大教授は指摘する。

米国の最優先課題は米韓FTAではなくNAFTAだ。「米通商代表部(USTR)に2つのFTAの再交渉を同時並行で進める余裕はない。米韓FTAの破棄をちらつかせて米国の本気度を示し、NAFTA再交渉で抵抗するカナダ、メキシコに米国の要求をのませる狙いがある」との見立てだ。

NAFTA再交渉が思うように進まないなか、トランプ氏が米韓FTA見直しで成果を挙げようとしているとの見方もある。韓国大統領府の高官は「トランプ氏が首脳会談で米韓FTA破棄には言及しなかった」と言うが、強くこだわっているのは間違いない。

これに対し、韓国が切ったカードは米国からの武器調達の拡大だ。トランプ氏は「韓国は数十億ドルの防衛装備を注文するだろう」と語った。文氏は「最先端軍事偵察資産(兵器)の獲得と開発で協議を即時に開始する」と語った。韓国独自のミサイル防衛システムである「キルチェーン」構築に必要な偵察機などを指すとみられる。

韓国大統領府関係者によると、米国の原子力潜水艦の導入・開発も議論するという。韓国は北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の脅威に対処するため、米国に原潜導入を働きかけてきた。国防力強化と貿易黒字削減の一石二鳥を狙うが、米韓FTA見直しで米国の譲歩を引き出せるかは不透明だ。

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