2017年11月24日(金)

中国共産党は民間企業へ介入しない
経済健全化に必要と理解

中国・台湾
The Economist
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2017/11/10 6:50
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The Economist

 中国はしばらくの間、毛沢東時代の経済運営に戻りつつあるように見えた。

 10月18日から開催された中国共産党大会(5年に1度、開かれる)の幕あいで、ある党職員が習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)にこう語った。自分の村の製造所では白酒(アルコール度数の高い蒸留酒)を1瓶99元(約1700円)で販売している。毛沢東以来、最も強い権力を手にした習氏はこれを聞き、少し値段が高いのではないかと口にした。

 たしなめられた職員は感謝の言葉を述べ、習氏の助言に従うことを約束した。だが習氏は“やめなさい”という身ぶりをし、「それは市場が決めることだ」と軽く笑った。「私がそう言ったからといって、値段を30元(約500円)に下げたりしないように」

 酒類の価格を指示する意図が習氏にないと知り安堵したのだろう、周りの人たちはこれを聞いてドッと笑った。

習氏の民間企業への統制が強まると懸念されるが…=ロイター

習氏の民間企業への統制が強まると懸念されるが…=ロイター

 退屈な党大会において珍しく陽気だったこの一コマは象徴的だ。今回の党大会で、習氏の地位は最高指導者の中でも無類のものとなった。企業にとっては、習氏がその地位を使って何をするかが問題となる。同氏の構想には脅迫的な側面が垣間見える。習氏は、自らの計画を明らかにする演説の中で「党がすべての活動を指導する」ことを明確にした。

■「愛国的であれ」と指示

 習氏による監督のもと、共産党は国有企業への管理を強化すると改めて宣言している。

 民間企業についても影響力を行使しようと狙っている。党は起業家に対して愛国的であるよう要請した。また、規制当局は尊大な実業家を威嚇し、従わせている。

 彼らの中には中国一の金持ちになったこともある不動産王の王健林氏や、自らを「次なるウォーレン・バフェット」とうそぶいた保険業界の大物、呉小暉氏などがいる。

 こうした状況から、習氏が民間企業への圧力を強めているように見えるかもしれない。だが「中国の特色ある社会主義」の根本部分には、長いこと矛盾が存在している。中国経済のほぼ全体において、党の当局者は資本主義を統制している。習氏は「新時代」の到来を約束した。これは恐らく、中央計画経済への回帰というより現状の維持を示すものだろう。

 経済界の大物に対する取り締まりを例にとってみよう。当局は企業買収を繰り返してきた中国企業の中から4社を特別な監視対象として選んだ。保険大手の安邦保険集団、航空事業から観光事業までを手掛ける複合企業の海航集団(HNAグループ)、不動産大手の大連万達集団、投資大手の復星集団だ。

 これを受けて、過熱していた海外投資は今年に入って大きく鈍化した。万達はこれまでに多くのホテル資産を売却。安邦の創業者は拘束されている。

■内需型企業の経営者は財産が急増

 それでも一連の動きは、一部の人々がいうような経営者に対する威嚇ではない。中国の超富裕層を紹介する「胡潤百富」が掲載する長者2130人のうち、裁判沙汰になった人は昨年わずか5人だった。これに対して、習氏が進める反腐敗運動は過去5年間に、共産党中央委員会の構成員205人の1割近くを拘束している。

 米コンサルティング会社マッキンゼーのジョー・ンガイ氏は、野心的なこの4社への対応は、企業の資金移動に対する規制を厳格化したために生じた副産物とみるのが最も妥当だと指摘する。時代遅れなことに当局は、リスクを伴う資金の使い道、とりわけ海外企業の合併・吸収に強硬な姿勢をとっている。

 一方で、国内市場(テクノロジーや不動産、製造の分野)で事業を営む大物実業家の財産は急増している。習氏が総書記になってから「胡潤百富」に記載される資産額は2倍以上に増えた。

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