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東京オリパラ開催の意味を改めて考える
編集委員 北川和徳

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2017/11/8 6:30
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実際に20年に向かって日本の社会にはさまざまな変化が起きている。最も分かりやすいのは急激なインバウンド(訪日外国人)の増加。20年大会が決まった13年に初めて1000万人の大台を超えたのが、たった3年後の16年には2400万人に達し、17年は2900万人に迫りそうだ。政府は20年に4000万人の目標を掲げる。

20年大会の存在がインバウンド増の理由とまではいえないが、きっかけの一つなのは間違いない。ホテル、旅館の増設や空港、ターミナル駅、観光施設のリニューアルなど投資を進める企業にとっても20年は当面のターゲットとして明確に意識されている。観光関連に限らず、3年後のビッグイベントの存在は新たな投資を迷う多くの企業の背中を押している。

急ピッチで建設が進められる新国立競技場=共同

急ピッチで建設が進められる新国立競技場=共同

パラリンピックの存在感も高まり、ハンディがあっても社会に参加してそれぞれの役割を果たしていける共生社会という言葉が当たり前に使われるようになった。

20年大会の期間中には9万人以上のボランティアが必要とされる。社会貢献活動に対する企業の休暇制度などが充実し、ボランティア文化の醸成にもつながる。

家庭で眠っている古い携帯など小型精密機器から希少金属を取り出して金銀銅メダルを製造する計画も進んでいる。リサイクルシステムが定着して「都市鉱山」をフル活用できれば、日本は一躍資源大国となる可能性もあるそうだ。

期待される変化を数え出せばきりがない。20年五輪・パラリンピックは社会や人々の意識を変え、日本の未来をポジティブな方向に変える可能性を秘めている。その意味では、そこに投じる資金は将来への投資と考えるべきものだと思う。

目指すのは社会と人々の意識の変化

だが、本当にこの国の将来を持続可能なものに変えることができるのだろうか。大きなリスクを伴う投資なのかもしれない。国民の大多数が世界に追いつきたいと願い、莫大な資金の大半が新幹線や東京の高速道路、地下鉄網など確実な需要増があるインフラ整備に投じられた64年五輪とは状況が全く違う。20年に目指すのは社会と人々の意識の変化。だが、それぞれが思い描く理想の未来の姿は千差万別の時代である。

「スポーツには世界と未来を変える力がある」。20年五輪・パラリンピックの大会ビジョンだ。取材する立場にいてもこの言葉を聞くことは少ない。この大会ビジョンの意味を考え、共感する人はどのくらいいるだろう。

30年、40年、さらにもっと先の日本の社会を生きる人々は、3年後の祭典をどんな思いで振り返ることになるのだろうか。

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