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業績ニュース

ソフトバンク 営業最高益に死角 利払い年4600億円

2017/11/6 20:30
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 ソフトバンクグループが6日発表した2017年4~9月期の連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比35%増の8748億円となった。米携帯子会社スプリントの利益の伸びが貢献し、4~9月期として最高を更新した。だが最終的なもうけを示す純利益は87%減の1026億円。巨額の利払い費が収益を圧迫するなど営業最高益の陰には死角も潜んでいる。

決算発表するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(右)と宮内副社長(6日午後、東証)

決算発表するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(右)と宮内副社長(6日午後、東証)

 財務にのしかかる最大の懸念は多額の利払い費だ。13年に買収したスプリントの負債が加わり、9月末の有利子負債は約15兆円に達した。

 17年3月期の利払い費は4673億円と4年前の7倍。2位の東京電力ホールディングス(755億円)や3位のJR東日本(702億円)を大きく引き離し、日本の事業会社ではダントツの規模だ。1社だけで国内上場企業の利払い総額の約2割を占める。

 世界的な低金利で負債の利率は下がっている。かつて8%超の高金利で資金を調達していたスプリントは米国の金利低下で「直近は3%台で調達できている」(孫正義会長兼社長)。日本で8日に銀行から調達する約2.7兆円の借入金は利率が1%台前半と低利率への借り換えを急ぐ。

 だがムーディーズとS&Pの米格付け2社はソフトバンクの格付けを投機的水準の「ダブルB格」とする。金融引き締め局面に入った米国では金利上昇が見込まれる中、市場では「債権者に配慮し有利子負債を減らす努力が必要」(BNPパリバ証券の中空麻奈氏)との声が出ている。

 国内貸し出しの需要が限られる中、銀行にとってソフトバンクは数少ない大口の優良取引先。「アリババ株など資産を踏まえれば財務面の心配はない」(大手行幹部)との声が大勢を占める一方、巨額の貸出金は銀行の経営リスクに直結する。銀行の中からは「これ以上付き合っていくのか考えるべきだ」(銀行関係者)との声も出始めている。

 最終減益となった原因は複雑なデリバティブ取引だ。これが2つめの懸念材料だ。

 ソフトバンクは16年6月、約3割を保有する中国・アリババ集団株の一部売却に絡むデリバティブ取引を結んだ。19年6月にアリババの米預託証券に転換する機関投資家向け社債を発行し、転換するおおよその株数と株価を決定。将来得られるアリババ株の売却益をいったん確定させた。

 その後、アリババ株は契約で決めた水準を超えて上昇。契約を結ばずに株で持ち続けていたら、より多くの含み益を得られた。この含み益と、19年に得られる売却益の差額をデリバティブ損失として決算に反映。4~9月期は5046億円の損失を計上した。

 3つ目の懸念は5月にサウジアラビア政府などと立ち上げた「10兆円ファンド」が連結対象に加わったことだ。利益貢献は4~9月期から本格的に始まり、米エヌビディア株の評価益などで営業利益を1862億円押し上げた。

 一方、10兆円ファンドの投資先企業の資産(1兆8530億円)と負債(1兆1586億円)が貸借対照表に上乗せされた。9月末の総資産の7%、負債の5%に当たる。

 10兆円ファンドはこれまで1社平均約1000億円で約20社に投資。孫社長は「投資先の大半は未上場株で、上場のタイミングで保有株の価値が顕在化する」と今後の収益貢献への期待を示すが、当面は資産の膨張が先行しそうだ。資産拡大は自己資本比率など財務指標の低下を招く。

 1990年代は投資会社として成長したソフトバンク。06年のボーダフォン日本法人の買収で通信会社に変わったかにみえたが、再び投資会社の性格を強める。孫社長は6日の記者会見で「ソフトバンクの本業は情報革命。通信が本業とは一日も思ったことはない」と話した。投資会社への「先祖返り」は、株価や金利で収益が大きく変動するリスクを高めることになる。

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