日本車両、米国の鉄道車両 開発・製造を断念
JR東海子会社の日本車両製造は6日、米カリフォルニア州交通局などから受注した新型鉄道車両、130両の開発・製造を断念すると発表した。構造強度などの不足で設計のやり直しを迫られていた。主契約者は住友商事グループで、日車両は約372億円の解決金を住友商事などに支払う。今後の開発と製造は独シーメンスが引き継ぐ。
米州住友商事が2012年に契約した案件で、日車両は当時のレートで約280億円で受注した。2階建ての新規格の車両で、試験車両の段階から構造強度の不足で設計見直しが必要になった。
米国の主要部品メーカーが倒産するなど他のトラブルも続いた。部品調達や最終組み立てをすべて米国で賄う条件も足かせとなったとみられ、事業の断念を決めた。
同日、名古屋市内で記者会見した五十嵐一弘社長は「完遂できなかったことは大変残念。納入先など関係者への影響を最小限に抑える必要があった」と説明した。
解決金には受注先への遅延損害金なども含まれ、18年3月期決算で特別損失などの形で計上する見通し。日車両は本社の土地建物などを担保にJR東海から350億円を借り入れる。JR東海、日車両ともに、改めて業績予想を開示する。
住友商事は新たにシーメンスと契約を結び、19~25年にかけてカリフォルニア州交通局などに納入を始める。車両の仕様は2階建てから1階建てに変更するという。