2018年2月21日(水)

東京電機大 色変わる塗料で酸性ガス検出
工場の壁や火口付近での利用を想定

科学&新技術
2017/11/7 6:30
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 東京電機大学の足立直也准教授らは酸性ガスを検出できる塗料を開発した。塗料に塩酸や酢酸などの酸性ガスが触れると、緑色から黄色に変化する。壁に塗っておけば、工場などで異常なガスの発生を見つけられるという。今後、合成法や感度などを改良して、5年後の実用化を目指す。

酸性ガスにふれると緑色から黄色に変化する

酸性ガスにふれると緑色から黄色に変化する

 酸性ガスを色の変化で検出する化合物を開発した。常温で液体で、そのまま塗料に使える利点がある。酸性ガスが放出する水素イオンがくっつくと、塗料の色が変わる仕組みだ。酸性ガスがなくなると色が戻るため、繰り返し使える。

 研究チームはフェニレンエチニレンと呼ぶ化合物に注目した。炭素間の三重結合とベンゼン環が交互に並んだ構造で、特定の色の光を出す性質をもつ。中央の部分に酸と反応する構造をつけた。水素イオンがくっつくと、電子が減って色が変化する。

 塗料を塗った板に酸性ガスをかけて、検出できる濃度などを調べた。塩酸などの強い酸では、数十PPM(PPMは100万分の1)の濃度で、緑色から黄色に変わることがわかった。紙やプラスチックなどの様々な材料で試して、塗料を塗れることを確かめた。

 光を出す化合物は、分子が互いに結合して常温で固体になる物質が多かった。液体に溶かして、液体中の物質を検出する用途に限られた。

 開発した塗料は、ベンゼン環に長い炭化水素の鎖をつけて結合を妨げて、液体になるように改良した。ガスと直接に反応する塗料として使える。

 半導体を使った従来型のセンサーは数PPMほどの感度でガスを検出できる。化合物の構造を改良すれば、同程度まで感度を高められるとみている。

 市販の材料で合成できるが、1平方メートルあたり2万円ほどかかる。合成方法などを工夫してコストを下げる。

 酸に反応する部分を付け替えれば、他の物質も検出できると見込む。火山で多く発生する硫化ガスやシックハウス症候群を起こすホルムアルデヒドなどで色が変わる化合物の開発も目指す。

 火口の近くなど、有毒なガスが発生して装置を設置しにくい危険な場所での検査に役立つとみている。

(科学技術部 遠藤智之)

[日経産業新聞 2017年11月7日付]

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