新興国インドネシアも「モノが売れない」 7~9月成長率5・06%、通年目標難しく

2017/11/6 14:10
保存
共有
印刷
その他

【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシア中央統計局は6日、2017年7~9月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比で5.06%伸びたと発表した。インフラなどへの投資が伸び、資源価格の回復で輸出も堅調だったものの、GDPの5割強を占める個人消費が減速傾向で成長の足かせとなった。ジョコ政権は消費底上げを図るため、景気対策の検討を始めた。

個人消費が振るわない(10月、ジャカルタの百貨店)

成長は17年4~6月期の5.01%から加速したが、市場予想を下回り、政府が予算案で17年通年の目標とした5.2%成長の達成は難しくなった。インドネシアは20カ国・地域(G20)の中では比較的高い成長率を維持しているが、政府や専門家の間では6%以上の「より高い成長を目指すべきだ」とする意見もある。

これまで成長をけん引してきた個人消費の伸び悩みが深刻になっていることがインドネシア経済の先行きに暗い影を落とす。7~9月期の個人消費の伸びは4.93%増にとどまり、4~6月期からやや減速した。

インドネシア中央銀行がまとめた小売業売上高の統計によると、9月の伸び率(速報値)は前年同月比で2.4%増にとどまった。16年はほぼ年間を通じて2ケタの伸びだった。食料品を除いた売上高は前年同月比で5.2%減だった。急成長するネット経由の消費は算入されていないが、個人消費が昨年と比べて勢いを欠くことを示す。小売店からは「モノが売れなくなった」との声があがる。

個人消費が減速する理由のひとつは賃金の伸びが鈍っていることだ。特に17年の最低賃金の伸び率は8%強にとどまり、近年では最も低い伸びになったことが影響する。13年に首都ジャカルタで40%を超える大幅上昇となるなど2ケタ増が続き、それが消費の拡大を促していたためだ。

最低賃金の伸びは18年も約8%にとどまる見通しで、政権幹部は「比較的所得が低い層の消費意欲が特に下がっている」とみている。

消費関連企業の業績も振るわない。日用品大手、ユニリーバ・インドネシアの1~9月期の売上高は前年同期比で3.69%増にとどまった。百貨店最大手のマタハリ・デパートメント・ストアの1~9月期の既存店売上高は前年同期比で2.7%減だった。モダン・インターナショナルが6月、同国内のセブンイレブン全店を閉鎖するなど小売店の閉店も目立つ。

個人消費の回復の遅れが鮮明となったことで、インドネシア政府は景気対策の本格的な検討を始めた。地方振興予算(17年は60兆ルピア)を活用し、道路工事などの公共工事で新たな雇用を生み出す。地方での雇用を改善し、個人消費の浮揚につなげたい考えだ。

足元では、ジョコ政権がかかげる大規模なインフラ開発に一定の進展があり投資が伸びていることや、資源価格の上昇で輸出も回復傾向にあることが経済の追い風になっている。だが、高い成長を実現するためにはGDPの55%を占める個人消費の回復が欠かせない。政府は景気対策や雇用対策で個人消費の回復を急ぐ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]