サウジが空港閉鎖、抵抗勢力一掃へ 著名投資家ら拘束 - 日本経済新聞
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サウジが空港閉鎖、抵抗勢力一掃へ 著名投資家ら拘束

【カイロ=飛田雅則】サウジアラビアは改革に抵抗する勢力の国外への逃亡を防ぐため、空港の閉鎖に踏み切った。5日までに「汚職」を名目に多数の王子や現役閣僚らを拘束。抵抗勢力を一掃し、サルマン国王から息子ムハンマド皇太子への権力承継を確実にする狙いだ。ただ、経済のけん引役の著名投資家も拘束されたことで、ビジネス環境が不透明になるとの懸念が広がっている。

今回の大量の拘束劇の直前の4日夜、サウジはムハンマド皇太子をトップとする新たな汚職対策の組織を立ち上げた。次は誰が狙われるのか、関係者には警戒感が広がっている。サウジ当局は王族らの逃亡を防ぐため、プライベートジェットが発着する首都リヤドにある空港を閉鎖した。

2030年を目標に、石油に頼らない経済への転換を主導するムハンマド皇太子は、不満分子の一掃に動いた。ムハンマド皇太子への王位継承に向けた「地盤固め」との見方が有力だ。

ただ、今回拘束された王族の中に、世界有数の富豪で投資会社を率いるアルワリード・ビンタラール王子が含まれていたことからビジネス界に衝撃が走っている。同王子は米金融大手のシティグループや米アップルなどに投資しており、投資家として著名な人物だ。

かつて同王子は自伝の中で「近代化は絶対に必要」「変革は避けられない」と主張していたほどの改革派だ。米国の大学に留学した経験を背景に、欧米の企業経営者との人脈を築き上げてきた。保守的なサウジの中にあって、欧米と気脈の通じた人物がいることが、サウジ経済への期待感を醸成してきた面もある。

原油価格の低迷に加え、イスラム教シーア派のイランや、同じアラブのカタールとの断交による中東情勢の不安定化を懸念し、ここ数年は海外からのサウジへの資金流入は低調だ。

改革派のアルワリード王子まで拘束されたことで、サウジの先行き不透明感を強めた面がある。一段の海外マネーの逃避を招く恐れもあり、ムハンマド皇太子が主導する改革の歩みを遅らせる懸念も出てきた。

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