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話題尽きぬ17年ワールドシリーズの舞台裏(後編)
スポーツライター 丹羽政善

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2017/11/4 6:30
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 話題が尽きなかった米大リーグのワールドシリーズは11月1日(日本時間2日)の第7戦までもつれ、その最終戦のマウンドにダルビッシュ有(ドジャース)が立った。ところが、三回にはもうマウンドからその姿が消えた。前編に続き、そこまでを順にたどっていく。

10月27日の第3戦。先発したダルビッシュは1回2/3を投げて6安打、4失点で降板した。

8月中旬からフォームの修正を試み、9月中旬に形になった。その後、じっくりと磨きをかけ、小石を積み上げるような地道な作業を続けてきたが、崩れるのは一瞬だった。

何度も「スライダーが抜けた」

何があったのか。

ダルビッシュは「スライダーが抜けた」と繰り返したが、その時点では彼自身も思い当たる節がなかった。その点についてもあとで触れるが、その日はむしろ、別の問題が話題をさらった。

プロ野球のDeNAでプレーしたことがあるユリエスキ・グリエルがダルビッシュからホームランを打った後、アジア人を差別するようなジェスチャーをしたとして試合中から記者席は対応を巡ってざわついていた。

詳細については前回のコラム(10月30日付「ミスをどう生かす ダルビッシュが問いかけた意味」)を参照してほしいが、その翌日の28日――。第4戦の前にはマンフレッド・コミッショナーが急きょ記者会見し、グリエルの行為に対して処分を下している。

急いだのはワールドシリーズの盛り上がりに水を差しかねなかったからだが、いわゆる玉虫色の決着となった。

グリエルは来季の開幕から5試合の出場停止となったものの、ワールドシリーズ期間中の出場停止処分は見送られた。当初コミッショナーは第4戦、5戦の出場停止処分を考えたという。しかしその場合、グリエルが異議を申し立てる可能性がある。リーグの処分に対する選手の権利の一つだが、そうすると正式な処分が決まる前にワールドシリーズが終わってしまう。

コミッショナーとして一番避けたかったのが、そうした事態。結局、ワールドシリーズには出場させる代わりに、この種の処分としては重い5試合の出場停止とし、さらには異議申し立てをさせないという取引をしたというのが実情か。

ただ、本当はどうだったのかという点は、今も不透明なまま。

ダルビッシュも「ワールドシリーズは大きなことだから、ワールドシリーズでサスペンションにするのはフェアではないというのは、なんとなくわかる気はする」としたうえで、こう続けた。

「やっぱり人種の差別はすごく大きなこと。5試合が大きいのかどうかわからないけれど、人種の問題が大事だといっているのと、処分っていうのが説明がないので、よくわからないなって気はします」

結局、この処分で優先されたのはコミッショナーのメンツかもしれない。シリーズ期間中の処分にこだわって調停にでももつれ込めば、彼のリーダーシップが疑われかねなかった。

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