イエレン議長は1期で退任 異例の短命、緩和出口で功績

2017/11/3 4:48
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が来年2月、1期4年の任期を終えて退任することになった。歴代議長の中では異例の短命体制となる。イエレン議長は利上げに慎重な「ハト派」として知られ、金融危機からの回復局面でも緩やかな引き締めにとどめ、米景気を持ち上げた。量的緩和を完全終結に導くなど「金融政策の正常化」が功績となった。

イエレン議長は2日に声明を発表し「ジェイ(パウエル氏の愛称)の特筆すべき経歴は献身的な公的サービスから培われた」などと手腕を評価した。さらに「円滑な引き継ぎを約束する」とも表明。イエレン氏は理事としての任期が2024年まで残っているが、議長職とともに退任する意向を示唆したとみられる。

FRB議長は5期18年務めたグリーンスパン氏らを代表に、長期体制を敷くケースが大半だった。改正銀行法で現在のFRBの体制が整った1935年以降、FRB議長は9人いる。2014年2月に就任したイエレン氏は、その中でも過去3番目の短い1500日弱の在任期間に終わりそうだ。

イエレン氏はFRBを中心に長く金融政策に携わってきた。1970年代にはハーバード大助教授からFRBの国際担当エコノミストに就任。FRB理事、サンフランシスコ連銀総裁などを歴任した後、2010年にはバーナンキ議長(当時)を支える副議長に就いた。雇用拡大を重視する「ハト派」の評価を高め、14年に議長となった。

米国人としては小柄で、笑顔を絶やさない気さくな人柄でも知られた。夫はノーベル賞経済学者のジョージ・アカロフ氏で、国際会議などでの出張時には、夫婦そろって食事をとる姿がたびたび目撃された。多様な語彙で魅了したグリーンスパン氏らとは異なり、簡潔な発言を常に選び、透明な情報発信にも定評があった。

金融政策面では慎重に「政策金利の正常化」(イエレン氏)を進めてきた。15年末には利上げを再開したものの、15年、16年と年1回の金融引き締めにとどめて、世界市場の動揺を回避。米株価は最高値圏に達し、今年10月には量的緩和で膨らんだ保有資産を圧縮する「量的引き締め」にも着手した。

株高と景気回復を呼んだイエレン議長の手腕は、トランプ大統領も「素晴らしい」と高く評価していた。歴代政権は中央銀行の独立性に配慮。金融市場の動揺も避けるため、議長交代には二の足を踏みがちだった。オバマ前政権からの政策転換を印象づけたいトランプ氏はイエレン氏の交代に踏み切った。後を継ぐパウエル氏は市場の信認をつなぎ留める重い責務がある。

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