2017年11月21日(火)

千趣会、通販+リアル店で反撃 EC大手に押され苦戦
衣料を大幅縮小、インテリアに活路

小売り・外食
関西
2017/11/3 2:30
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 通信販売の千趣会が事業再建に向け動き出した。カタログからネットへの移行を進めてきたが、アマゾンなど電子商取引(EC)大手に押され、2017年12月期は104億円の最終赤字に転落する見通し。2日の新中期経営計画の説明会で、星野裕幸社長は衣料品通販を縮小し、インテリア用品や料理教室など「専門店の集合」に活路を見いだす戦略を掲げた。リアル店舗との相乗効果で、顧客を掘り起こす。

千趣会が1日、開業したインテリアショップ「ベルメゾン ライフスタイリング 堀江」(大阪市西区)

千趣会が1日、開業したインテリアショップ「ベルメゾン ライフスタイリング 堀江」(大阪市西区)

 1日、大阪市西区に同社として初のインテリアショップ「ベルメゾン ライフスタイリング 堀江」を開業した。仮想現実(VR)端末で実際に家具を設置した風景を見ることができ、コンシェルジュが家具選びをサポートするのが特徴。店頭にない商品は通販でも扱っている家具を案内し、自宅に配送する。

 「店舗で客の声を聞き、原点回帰で頑張りたい」と星野社長。18年度で約1万9千人の来店を見込み、1億円の売上高を目指す。3~5店を順次出店していく計画だ。

 千趣会がまとめた新中期経営計画は、最終年度の20年12月期の通販事業の売上高目標を16年12月期比6%減の1000億円に抑えた。「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイなどとの競合が激しい衣料品を「今後大幅に縮小する」(星野社長)方針だ。

 今後通販の中核に掲げるのがインテリア用品だ。ニトリなどが通販に乗り出しているが、衣料に比べてEC大手の影響が少ないと判断。リアル店舗も活用しながら新しい収益の柱に育てる。

 「アマゾンでは手の届かないニッチ市場をゲリラ的に攻める」(星野社長)。千趣会が手掛けるうまくいっている事業の例として、生花通販サイト「イイハナ・ドットコム」などを挙げた。新たに始めた料理教室事業や、認可保育所の運営など採算の取れる事業を積み上げ、業績を底上げしていく計画だ。

 千趣会の最大の強みはカタログ通販が中心だった時から一貫して使っている「ベルメゾン」のブランド価値と、年間約340万人が購入するという規模の会員数だ。大半が女性で、30~50代が中心。8月にスタートした投資教育オンライン講座では、ベルメゾンの会員にメールで新サービスの導入を伝えるなど、知名度を生かした戦略を打ち出している。

 15年にはJ・フロントリテイリングと資本業務提携し、同社が筆頭株主となった。共同でプライベートブランド(PB=自主企画)商品の開発を進めてきたほか、今年3月には千趣会がJフロントの通販事業を譲り受けた。当初は実店舗とネット通販との補完性の高さを強調していたが、2年たっても業績面で成果は表れてはいないのが実情だ。

 アマゾンなどEC大手も扱う製品を増やし、リアル店舗との融合を進めている。千趣会が大手に対抗するには今回の再建策に加え、これからも新たな策が必要となる。

■低価格品増、顧客離れ招く

 通販市場自体は拡大傾向にある。日本通信販売協会の2016年度の調査では、通信販売市場の規模は6兆9400億円と5年前に比べ約4割増えた。ただ市場は勝ち組と負け組にはっきりと分かれつつある。

 アマゾンや楽天などのネット企業や、衣料品で「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイなどが台頭。もともとカタログ通販が強かった千趣会、ニッセンホールディングス、ディノス・セシールなどは苦境が続いている。カタログは一覧性があり高齢者には強いが、スマートフォン(スマホ)に慣れた若者世代には受け入れられず、ネット化の中でEC大手に顧客を奪われている。

 千趣会も手をこまぬいていたわけではない。売り上げ増を目指すため、衣料品などを中心に商品のアイテム数を12年から5年間で7割増やしたほか、利益率が見込めるSPA(製造小売り)で低価格商品を量産した。しかし商品の急増は結局ベルメゾンらしさが見えなくなり、顧客離れを招くという悪循環に陥った。(菊地悠祐)

 千趣会 本社は大阪市。1955年の設立で、こけしの頒布販売を大阪府で開始したのが始まり。58年には料理雑誌を創刊。69年に幼児向け商品を発売するなど働く女性に興味のある商品で事業の基礎を築いた。
 76年にはカタログ「ベルメゾン」を創刊し、カタログ事業に進出。ピークの97年度にはベルメゾンの実働会員数は約420万人にのぼった。2017年12月期の連結売上高は1269億円、最終損益は減損損失の計上もあり、104億円の赤字の見通し。

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