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1日2便のみ但馬空港、「副業」で盛況(もっと関西)
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コラム(地域)
関西
2017/11/2 17:00
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 定期便を持つ関西の空港といえば関西国際に伊丹(大阪国際)、神戸、南紀白浜。これらに比べ幾分影が薄いのが兵庫県北部、豊岡市の但馬空港だ。定期便は伊丹間の1日2便だけで、離島便を除けば全国最短の路線。利用者数も最低クラスという。伊丹便だけで空港が成り立つのか、飛行機の離着陸の時以外は何をしているのか。詳しく知るため現地を訪れた。

 伊丹から但馬に飛ぶのは日本航空(JAL)グループ、日本エアコミューターの三十数人乗りプロペラ機。離陸後ほどなく着陸準備のアナウンスが流れる。直線距離で約100キロ、たった40分の空の旅だ。空路は確かに速いが、JR特急こうのとりでも大阪駅から豊岡駅まで2時間半少し、高速バスなら3時間。航空運賃は高いし、空港アクセスや搭乗手続きを考えれば飛行機にそれほどメリットがあるとも思えない。

 まず話を聞いたのが但馬空港推進協議会の増田善光さん。ストレートに但馬空港の存在意義を問うと「地元の悲願は羽田便の実現です」。豊岡から東京まで特急と新幹線を乗り継ぎ5時間ほど。もし但馬から羽田の空路があれば、伊丹から羽田の1時間10分と同程度で到着できるはず。利便性は伊丹便と比較にならないほど良いだろう。

 だが羽田空港の発着枠は慢性的に不足で、但馬は1994年開港の後発組。68年開港の南紀白浜が当初から羽田便を確保し、現在も1日3便を飛ばすのと対照的だ。但馬の伊丹便搭乗率は今年4~9月で約75パーセントと過去最高を記録。実績を積み、羽田便の実現を目指すためにも伊丹便の存在意義は大きい。伊丹便の機体は来年度48人乗りに変更されるが「搭乗率の維持が羽田便への試金石」と増田さんは気を引き締める。

■スカイダイブやBBQ

 但馬空港は午前10時10分に伊丹便が出発した後、午後5時40分の伊丹便到着まで定期便の離着陸は無い。この7時間半、空港では誰が何をしているのか。

 空港を管理する但馬空港ターミナルの村尾久司さんに聞くと「けっこうにぎやかです。空港の有効活用に知恵を絞っていますから」とのこと。例えば昨年始まった夏のキャンプは空港内の緑地にテントを張り、飛行機を眺めつつバーベキュー。9月に開いた初のマラソン大会は「滑走路を走れる」と話題を呼び、ベビーカーの0歳児から80歳の男性まで170人が参加した。他にも空港の見学ツアーなどイベントは豊富だ。

 晴れた日なら午前の伊丹便が飛び立った後、1機の小型飛行機が滑走路を飛び立ちしばらくすると、大きなパラシュートが降りてくる。「スカイダイビング愛好家にとって但馬は貴重な拠点です」。地元のスカイダイビング会社、スカイダイビング関西の甲斐健太郎さんは言う。

 酸素ボンベ無しで上がれる上限高度4000メートルからスカイダイビングできる場所は全国で数えるほど。航空管制など法的な条件を満たすのは西日本で但馬空港だけだ。定期便を持つ空港でも全国で但馬だけ。同社は年間200日以上、多い日は1日で10回以上もスカイダイビングを実施するが、それも定期便が少ない空港だからこそだ。

■搭乗回数稼ぐ「修行者」も

 「あなたも修行?」。取材の合間、空港の出発ロビーで隣の男性が話しかけてきた。詳しく尋ねると、各航空会社は運営するマイレージサービスで空港ラウンジ利用や獲得マイル上乗せなどの特典が受けられる上級会員を設定するが、資格を得るには搭乗マイルの積算以外に搭乗回数を積み上げる方法もあるという。

 JALの場合、年間50回の搭乗で上級会員に認定される。ただその目的のためだけに、ひたすら搭乗を繰り返すことを「修行」と呼び、短距離で運賃も比較的安い伊丹―但馬便に集中して乗る「修行者」が関西には多いのだという。「但馬空港はいわば修行者の聖地」という話に感心することしきり。多くの人たちが重宝する但馬空港。多様な思いを乗せ、今日も滑走路から飛行機が飛び立つ。

(大阪・文化担当 田村広済)

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