2017年11月20日(月)

イシダ アジア深掘り 食品袋詰め機、インドに工場
販売強化、海外比率5割へ

自動車・機械
関西
2017/11/2 2:00
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 計量器大手のイシダ(京都市)は計量した食品を袋詰めする機器でアジアの新興国に攻め込む。2020年までにインドに生産拠点を設け、現地の食品工場に供給する方針を決めた。東南アジアや中国の販売体制も拡充する。日本で競争環境が厳しさを増す中、人口増や人件費上昇で機器の需要が伸びている新興国で生産・販売体制を整える。

食品工場向けの組み合わせ計量器では世界シェア7割に達する(滋賀県栗東市)

食品工場向けの組み合わせ計量器では世界シェア7割に達する(滋賀県栗東市)

 食品を正確に計量して袋詰めする「組み合わせ計量器」は食品工場に不可欠の機器だ。柿の種やポテトチップス、チーズなど、形や大きさがバラバラの食品を大型の機械に投入する。機械をぐるりと取り囲む小型のカップに食品が少量ずつ入れられ、合計すると規定の重量に最も近くなるよう幾つかのカップから食品がプラスチックの袋に滑り落ち袋詰めする。イシダの主力製品で、アジアや欧米、アフリカなど世界約120カ国に販売し、世界シェアは約7割を占める。

 インドで生産するのは計量器と組み合わせて使う袋詰め機。17年3月期の海外売上高は約400億円と全体の3分の1強。23年3月期までに750億円に増やし、海外売上高比率を5割に高める計画だ。

 石田隆英社長は「インドでは大手食品メーカーの工場新設が相次ぐ。現地の規格に合った商品の需要増に対応する」と話す。海外工場は英国、ブラジル、韓国、中国に続き5カ国目となる。投資額は数十億円とみられる。

 インドには現在、営業拠点があるが、滋賀県や中国・上海の工場から供給している。包装機メーカーとの提携やM&A(合併・買収)を視野に新工場を建設し、日本や欧米の進出企業のほか、現地資本の食品メーカーにも販売する。価格は日本で販売している製品より抑える考えだ。

 インドなど新興国の食品工場では多くの従業員を採用し、手作業で計量や袋詰め、検品をしてきた。だが現地の人件費が上昇し、機械への切り替えが広がりつつある。さらにアジアで積極出店する外資系の小売り大手などが食品の安全基準を厳格化。より正確で衛生的に袋詰めなどができる省力機器の需要が伸びている。

 イシダは1988年に韓国で、00年に中国で生産子会社を設立した。中国では大手包装機メーカーとの提携などで知名度が高まったという。

 アジアの販売体制も強化する。01年に販売子会社を設けたタイでは今年4月から従業員向けに、自社の生産ラインに沿った機器を提案するための教育を始めた。現地で生産ラインに適した機器を提案販売することで納品までの期間が半分になった。

 現地の販売拠点では袋詰め機や計量器を工場の生産ラインとどう組み合わせるべきかについて、習熟した人材がおらず、顧客の要望に対し複数の機器を組み合わせて提案することが難しかった。日本の本社の技術者が設計に対応する必要があり、納品までの期間も長くなりがちだった。今後、中国やインドでも提案販売を教育する。

■計量器や検査装置、幅広く
 イシダ 1893年(明治26年)創業。はかりメーカーとしてスタートし、1972年に開発した組み合わせ計量器がヒットした。現在は計量器のほか、袋詰め済みの食品を計量して欠品がないか調べる検査装置や、コンビニの総菜をプラスチックの入れ物に盛りつける機器など、食品工場向けの装置を幅広く手掛ける。
 2017年夏には水産加工場などで寄生虫「アニサキス」を光らせて検出する装置を工場向けに発売した。17年3月期の連結業績は売上高が1091億円、営業利益が120億円。

食品工場自動化、国内競争激しく

 イシダが海外投資を急ぐ背景には、国内で食品メーカーの合理化需要を取り込もうとする競争が激化したこともある。

 食品業界は商品のライフサイクルが短く、短期間で生産工程を見直す必要がある。自動車などのような産業用ロボットの導入は不向きとされた。だが人手不足の深刻化を受け、ロボットを扱う大手企業が積極的に参入するようになった。

 ファナックは自動車を塗装・溶接する多関節ロボットを食品分野に応用している。ベルトコンベヤーを流れる食品をアームでつかみ、向きや傾きをそろえて並べ直す。「総菜加工工場などを中心に販売は増加傾向にある」(同社)

 オムロンは精密部品の検査機器で培った画像センサーやモーター制御の技術を生かし、形が崩れず見た目の良いコロッケを高速で選別する機器を開発した。1分間に60個を選別でき、唐揚げやまんじゅうの加工品にも転用できるという。川崎重工業デンソーの子会社も食品工場向けの自動化機器に取り組んでいる。

 競争が激しさを増す中、イシダは顧客ごとに異なるニーズへのきめ細かい対応を進める。4月には「自動化推進室」を新設し、食品工場ごとに要望を聞き取り、それぞれのラインに合った製品の開発・提案を始めた。人工知能(AI)も導入し差異化を急ぐ。

(京都支社 山本紗世)

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