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クイックVote 電気自動車「乗りたい」約7割

第330回解説  編集委員 木村恭子

環境問題を背景に、走行中に排ガスを出さない電気自動車(EV)に世界的な注目が集まっているなか、電子版の読者にEVに乗ってみたいかどうかをお聞きしたところ、「乗っています」(64歳、男性)とするEVユーザーの回答を含め、69.1%が「乗りたい」と答えました。

ただ、実際に普及するにあたっては、「航続距離」を課題として挙げた読者が31.2%で最も多く、中には「全てがまだまだ解決できていない。電池交換経費などランニングコストが不明。充電場所の整備(マンション・ホテル旅館などの設備、インフラ)ができていない」として、「10~15年で全国(全世界)で解決できるか疑問」と指摘する読者(71歳、男性)もいました。

EVに「乗りたい」と答えた読者の中で、EVユーザーは「すでに乗っている。とても良い」(58歳、男性)として、満足度はおしなべて高いといえます。特に「一度電気自動車に慣れるとエンジンが動く音と振動はがさつに感じる」(47歳、男性)といった感想もありました。

多くの乗車経験のない読者からは「将来、自動運転やAI(人工知能)化も含めた『総合安全車』を期待するゆえに、一度乗ってみたい」(68歳、男性)と興味津々な様子がうかがえたほか、「イニシャルコストとランニングコストおよび充電(ガソリン車で言えば給油)などの利便性が、現行ハイブリッド車並みであれば、すぐにでも買い替えたい」(53歳、男性)として、今後の課題解決への期待をこめるコメントが少なくありませんでした。

一方、「乗りたくない」(17.6%)と答えた読者は環境問題への懸念を強く持っています。

「コストが高く、稀少金属を大量に使う車が本当に環境に良いとは思えない。結局のところ発電するわけだし。充電インフラもなく使えない」(55歳、男性)

「火力発電所で石油を燃やしてできた電気で走るEVはちっともエコではない。まやかしのエコ」(61歳、男性)

EVは、走行中に排ガスを出さないことから、大気汚染や地球温暖化に関しては「エコ」だといえますが、電池に充電するのは電力会社の交流電源であり、大規模な発電所で発電するゆえに「結果的にはエコではない」との主張かと思います。

回答者の内訳
回答総数809
男性93%
女性7%
20代以下4%
30代5%
40代12%
50代29%
60代33%
70代15%
80代以上3%

いろいろな見方がある中で、一つのデータとして、「環境危機をあおってはいけない」(文芸春秋)の著者で統計学が専門のビョルン・ロンボルグ氏(デンマークのコペンハーゲンビジネススクール客員教授)の試算を紹介しましょう。

ロンボルグ氏によると、EVが石油を使って発電した電力を充電して走ることや、使われているリチウム電池の製造過程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出することを考慮に入れても、EVのCO2排出量はガソリン車に比べて約1割は少ない――とのことです。

とはいえ、「乗りたくないというより現時点では特に乗りたいと思わない」(61歳、男性)、「試乗はしてみたいが、欲しい/使いたいとは今のところまるで思えない」(27歳、男性)との読者もいるように、EVの普及には課題が多いことも事実です。

EV普及のための課題としては「航続距離」を挙げた読者が最も多かったのですが、「航続距離が最大の課題だと思うが、充電切れの際の、充電スポットの充実、充電スピードも普及には重要。80%の充電に30~40分もかかっては実用的とはいえない」(55歳、男性)として、解決すべきことが複数にまたがっているとの指摘が目立ちました。

ただ、読者の中には、1問目の設問で「6年前から乗っていますし,ほぼ満足しています」と答えた読者(68歳、女性)のように、「日産が10月に発売した新型リーフは航続距離が1回の充電で公表400キロ(実際には300キロ程度と思われる)であり,自分にとっては外出先での充電が必要ない距離と思われます」と、航続距離がすでに満足のいくレベルに達している様子も伺えました。

次に多かったのは「充電時間」(21.4%)でした。

「一充電当たりの走行距離なんて300キロでも十分。問題なのは充電時間。何時間もかけて充電するなんて愚の骨頂。今の実力で使うなら家で充電が前提。遠くに行く気がおこらない車に何の価値があるのか」(61歳、男性)

「充電時間はガソリンを入れるくらいでないと急ぐときが困る」(72歳、男性)

ほぼ同率だった「価格」(21.0%)を挙げた「12年から5年間電気自動車(リーフ)で、今年また同じ車(旧型リーフ)を購入しました」とする読者(45歳、男性)は「ガソリン車と同様の値段になること」を望んでいました。

ほかには「いまの軽自動車の値段で電気自動車が出たらヒットすると思う」(49歳、男性)との声も。

また、「電池の寿命」(19.0%)を課題としてコメントを寄せた読者の多くはEVユーザーで、「バッテリー交換価格が明示されていないので、いつまで乗り続けられるのか、見通しが立たない。したがって、ライフサイクルコストが計算できない。結局、高くつく」(64歳、男性)や「寿命というか、何年後にどれぐらいの電池残量かというのが明らかになっていると安心して使える。それと、いくらで電池交換できるかメニューがあると安心」(47歳、男性)といった利用者ならではの具体的な声がありました。

そのほか「将来普及するとして、寿命がきた使用済み電池のリサイクルに問題はないのか」(68歳、男性)との指摘もありました。

EV事業については、家電量販最大手のヤマダ電機が参入を発表したほか、掃除機で知られる英ダイソンも2020年までにEVを発売する計画をすでに打ち出すなど、自動車業界だけでなく、いろいろな分野の企業が開発や生産に乗り出す見通しです。

「文殊の知恵」ではないですが、読者の抱く課題が解決される日は案外、近いかもしれません。

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