2017年11月20日(月)

KDDI、最高益に潜む影 傘下「格安」au侵食

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2017/11/1 23:00
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 KDDIが1日発表した2017年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比2%増の5425億円と過去最高を更新した。データ通信の大容量プランを選ぶ人が増え、売り上げが拡大した。だが格安スマートフォン(スマホ)の普及でauの契約者数は2年以上前から減少の一途だ。格安シフトは同社の内部でも進み、主力サービスを侵食しつつある。

決算発表するKDDIの田中社長(1日午後、東京・大手町)

決算発表するKDDIの田中社長(1日午後、東京・大手町)

 「通期目標に向けて順調な進捗だ」。1日、東京都内で開いた記者会見で田中孝司社長はこう語った。17年4~9月期の純利益は1%増の3294億円で、通期見通しの6割弱を半年で稼いだ。NTTドコモが同じ期間に減益だったのとは対照的な好決算だった。

 もっとも内容をよく見ると手放しでは喜べない。auの契約者数は9月末時点で2481万人と3カ月前から13万人減った。7月に始めた新料金プランの効果でなだらかになったとはいえ、減少は少なくとも9四半期続く。スマホでデータ量の多い動画などを楽しむ人が増え、4~9月期には契約者当たりの月間売り上げが1年前から2.2%増加。単価上昇で顧客減を補い、何とか増収を確保した格好だ。

 一方、9月末までの3カ月に「UQモバイル」など傘下の格安スマホは20万人近く契約を増やした。グループ全体の契約者数に占めるシェアはわずか5%程度だが、グループ内での格安の存在感が高まってきている。

 ドコモとソフトバンクも状況は同じだ。ドコモの9月末の契約数は3カ月前から24万7千件増えたが、これは格安スマホ事業者への回線提供分を含めたもの。ソフトバンクも6月末までの3カ月に4万8千件増やしたが、この数字にも格安ブランド「ワイモバイル」や他の事業者への回線提供分が含まれ、本体は減少したとみられる。

 格安スマホの普及が加速したのは2~3年前。スマホ全体の契約数の伸びが鈍化するなかで、市場の1割を超す規模に急成長した。契約者の流出を食い止めるために大手がサブブランドで格安事業を強化し、最近は大手系が新規契約の約5割を占める。シェア6位の「フリーテル」が楽天に買収されるなど独立系は押され気味だが、結果的に自ら市場を広げる形になった大手も格安シフトの影響は免れない。

 KDDIの場合、傘下の格安スマホの契約者当たりの月間売り上げはauの3分の1程度だ。田中社長も「格安に移行した顧客の減収分をどう補っていくのかが新たな課題」と話す。

 その対策としてKDDIは通信の顧客基盤を生かし物販や電力、保険などに事業を広げようとしている。今回の決算でもそうした新領域の契約者当たりの月間売り上げが1年前から14%増えた。ドコモも映像配信や金融、カーシェアリングといった通信以外のサービスにカジを切っている。人口減で契約数の伸びが見込めず、料金も低下していく格安時代の成長モデルをどう描くか。足元の好業績を喜んでいる時間はない。(堀越功)

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