2017年11月19日(日)

村田製作所、スマホ堅調に落とし穴 基板量産つまずく
今期8%減益 増産対応投資も重荷

関西
2017/11/1 2:30
保存
共有
印刷
その他

 村田製作所は31日、2018年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比8%減の1440億円になる見通しだと発表した。従来予想は11%増の1740億円だった。関西の電子部品大手が軒並み上方修正するなか、一転して減益となる。どんな誤算があったのか。

決算記者会見で質問に応える村田社長(大阪市)

決算記者会見で質問に応える村田社長(大阪市)

 スマートフォン(スマホ)の新製品に村田製作所の部品は欠かせない存在だ。例えば主力製品で電子回路のノイズを除去する「セラミックコンデンサー」はスマホに1台700個使われ、世界シェア4割だ。通信制御に使う「SAWフィルター」は5割を握る。

 福井県の主力工場では縦0.25ミリメートル、横0.125ミリと髪の毛の先ほどしかない超微細なコンデンサーを生産する。スマホの進化を先取りした製品開発に加え、製造設備のほとんどは自社で仕組みを工夫しているため、高い競争力を維持してきた。

 だが、その盤石な基盤に揺らぎが見える。「難易度が高く、不良率の改善が進まなかった」。同日大阪市で開いた記者会見で村田恒夫会長兼社長はこう説明した。

 下方修正の原因となったのは「メトロサーク」と呼ぶ独自開発した樹脂多層基板。折り紙のように曲げて内部にはわせることができ、iPhoneの新製品の薄型化・高実装の決め手になる。

 08年ごろから極秘に開発を進めていた戦略製品だが、アップルなど顧客から求められる技術面でのハードルは高まっている。

 メトロサークと同種の部品を作る別の部品メーカーがアップル側の発注量に応えられず、想定を上回る注文を受けたこともきっかけとなり量産化技術でつまずいた。200億円のコスト増となった。

 中国や韓国勢の追い上げをかわすために、積極投資をしてきたリスクも見え始めている。電子部品は村田製作所をはじめ日本企業の技術的な優位性がなお大きいが、開発や投資が滞れば抜かれかねないという危機感が背景にある。

 セラミックコンデンサーでは今期1割増産を計画し、福井と出雲(島根県)の工場、海外では中国とフィリピンで工場の能力を増強している。

 フル生産で増産対応をすすめる中、投資がかさむ。通期の設備投資は1700億円から2600億円に上積みした。「需要増に対し追加投資が出て、減価償却負担も増える」と村田社長は話す。今期の減価償却費は前期比18%増の1340億円と期初予想から160億円増える見通しだ。

 ソニーから買収したリチウムイオン電池事業でも課題があった。電池事業が非中核事業だったソニーが投資を抑制してきた結果、買収後の投資が膨らんでいるのだ。中国などで約500億円の設備投資に踏み切る。電池事業は安全や品質安定性を一段と求められるうえ、足元でスマホなどの電池需要が拡大しており対応を迫られた。

 電子部品の受注は四半期ベースで過去最高とはいえ、スマホ向け需要には変動もつきもの。自動車や医療分野など、新たな市場を開拓し続けることが欠かせない。(渡辺直樹)

今なら有料会員限定記事がすべて読めます!
電子版10日間無料お試しキャンペーンは11月20日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報