2017年11月24日(金)

「ゲノム編集」のイネ 農研機構、初の屋外栽培で収穫

科学&新技術
2017/10/31 20:00
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 農業・食品産業技術総合研究機構は31日、遺伝子を自在に改変できる「ゲノム編集」という最新技術で開発したイネを収穫した。ゲノム編集を施した農作物を屋外で栽培したのは国内初という。もみの数や米粒の大きさに関係する遺伝子を改変しており、収穫量の増加を見込む。今後、計量や詳しい解析を進め、ゲノム編集の効果があったのかどうか明らかにする。

ゲノム編集で遺伝子改変したイネを収穫した(31日、つくば市)

 農研機構は同日、茨城県つくば市にある研究施設の実験用田んぼでイネを収穫した。晴天に恵まれ、職員が機械で手際よく刈り取っていった。イネは5月に田植えし、花粉の飛散などを防ぐため隔離した農場で育てた。

 ゲノム編集のイネは、比較用に近隣に植えた通常のイネと見た目に大きな違いはない。農研機構の小松晃上級研究員は「今年は冷夏で実りは少ないかもしれないが、実際に計量すれば違いが出るだろう」と期待する。

 今回は6品種のイネの遺伝子に様々な改変を加え、120種類以上を育てた。もみ数や重量などを計測し、結果の良かった種類を中心に来年度以降も屋外で栽培する。収穫量を元の品種より2割増やすのが目標だ。3~4年後に成果をまとめて公表するという。

 これまでゲノム編集したイネは実験用の温室内だけで栽培されていた。屋外でも狙った通りの効果が確認できれば、実用化に向けた一歩となる。

 農研機構・遺伝子利用基盤研究領域の田部井豊領域長によると、米国ではゲノム編集したいくつかの植物が屋外で試験栽培され、トウモロコシでは大規模な栽培も認められている。中国でも屋外で実験したという論文発表が相次ぐ。田部井領域長は「これから日本で他の植物の栽培も進むのではないか」とみている。

 ただ、ゲノム編集で開発した新品種をどのように規制するのか日本には明確なルールがない。海外でも対応は分かれている。国の指針などがないままでは、実用化や普及がなかなか進まない可能性があると関係者は危惧する。

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