2018年4月24日(火)

早大が人工コラーゲン開発 将来は角膜などにも

科学&新技術
2017/11/1 6:30
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 早稲田大学の小出隆規教授らは、バイオ研究や医療などに使えるコラーゲンに似た人工素材を開発した。アミノ酸をつないだ鎖を3本束ね、それらを網目状に組み合わせてゲルなどに加工する。分子構造を変えることで用途に合わせた機能を発揮できる。再生医療などに使う細胞を培養する際の足場のほか、傷の治りを早くする医療用素材として有望とみている。医療用素材としては1~2年後に臨床試験(治験)を始める計画だ。

人工コラーゲンは組み合わさってゲル状になる。

人工コラーゲンは組み合わさってゲル状になる。

 コラーゲンは多くのアミノ酸が鎖のようにつながった細い糸3本が集まり、らせん状に絡み合った太い束になる構造をしている。アミノ酸のひもが絡み合った構造をしており、人工コラーゲンはそれをまねることで合成する。

コラーゲン 靱帯や軟骨、皮膚などを構成するたんぱく質の一種で、体内にあるたんぱく質の約3分の1を占める。体内では40%が皮膚に、20%が骨や軟骨に存在し、その他は血管や内臓など全身に広く分布している。細胞を支える土台などとして重要だ。

 動物由来の天然コラーゲンは医療用に使う際に病原体が侵入したり、免疫反応が起きたりする恐れがあり、人工コラーゲンの方が有望視されている。ただ安定した構造を作るのは難しいとされる。

 研究グループは、アミノ酸で作った鎖が自然とらせん状に絡まるように分子配列を工夫。アミノ酸の鎖の両端には「システイン」と呼ぶアミノ酸がくっついている。システイン同士が結びついてゲルなどの素材に加工できる。コラーゲンの鎖を構成するアミノ酸分子の種類は自由に変えられ、欲しい性質を設計することができる。両端のシステインの数によってもできたゲルの硬さを変えられる。

 ゲルを使って細胞を培養したところ、天然コラーゲンと差はなかった。人工コラーゲンを構成するアミノ酸分子の種類やゲルの硬さを変えることで、狙った細胞の培養に必要な培地などを作れるという。

 人工コラーゲンで薄い膜を作って傷を負った角膜に貼ると治りが早くなる可能性がある。現在、ウサギを使った実験で治療効果を確かめている。

 生物から抽出する天然のコラーゲンは値段が安いが、内部のアミノ酸を変えることはできない。従来の人工合成したコラーゲンをゲルなどに加工するには、両端に金属や特殊なたんぱく質を付ける必要があり、毒性が現れる可能性があった。

 ベンチャー企業と組んで改良研究や量産技術の確立を目指す。小出教授は「将来は人工角膜や網膜の治療などの医療面で応用したい」と話す。

(科学技術部 福井健人)

[日経産業新聞 2017年11月1日付]

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