2017年11月19日(日)

健康を防衛 セコンド役 元ボクシング世界王者 西岡利晃さん(もっと関西)
私のかんさい

コラム(地域)
関西
2017/10/31 17:00
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  ■世界ボクシング評議会(WBC)スーパーバンタム級王座を7度防衛した西岡利晃さん(41)。現役引退の翌2013年、生まれ育った兵庫県内にボクシングジムを開設した。

 ボクシングを健康づくりに役立ててもらうフィットネスジムを西宮市内に開いた。小学生から60代まで200人以上の方が通っている。自分と同じく世界チャンピオンを育てるのか、とよく聞かれるが、うちのジムは日本プロボクシング協会に加盟しておらず、プロを育てることはできない。

にしおか・としあき 1976年兵庫県生まれ。2008年、強烈な左ストレートを武器にWBCスーパーバンタム級王者に。日本人初のWBC名誉王者に認定された12年に引退。通算39勝(24KO)5敗3分け。現在は「西岡利晃GYM」会長。

にしおか・としあき 1976年兵庫県生まれ。2008年、強烈な左ストレートを武器にWBCスーパーバンタム級王者に。日本人初のWBC名誉王者に認定された12年に引退。通算39勝(24KO)5敗3分け。現在は「西岡利晃GYM」会長。

 ジムを開いたのは後進育成のためでなく、ボクシングの魅力を多くの人に知ってほしい思いから。「ボクシングは楽しい」と思う人が増えないと、この競技がマイナーになっていく危機感があった。会員さんが楽しそうにミット打ちなどに汗を流すのを見ると、開いて良かったなと思う。

  ■自身もミット打ちなどを通じてボクシングのとりこになった。

 ボクシングを始めたのは小学5年生の頃。運動神経は良かったが体が大きくなく、体重制のあるボクシングを父親に勧められたのがきっかけだった。初めは気乗りしなかったが「嫌だったらやめればいい」と言われ、住んでいた加古川市のジムに体験にいった。

 やってみると嫌どころか楽しかった。ミット打ちなどでは、ジムの人に「うまい」と乗せられた。どんどん吸収して何でもできた記憶がある。すぐに入会し、小学校の卒業前には「ボクシングで生きていく」と心に決めたほどだった。

 加古川南高3年の1994年にプロデビューし、2000年に初めて世界タイトルに挑んだ。04年、4度目の挑戦でも世界チャンピオンになれず、当時所属していた東京のジムの会長に引退を勧められた。「ジムでも開いたらどうだ。応援するよ」と。まだ27歳、やめるつもりはなかった。

強烈な左ストレートから「モンスターレフト」の異名がついた(2010年)

強烈な左ストレートから「モンスターレフト」の異名がついた(2010年)

 05年に結婚。子どもも持って幸せを感じた一方、5度目の世界戦がなかなか決まらず、焦りが募った。07年夏からは試合前の約2カ月間、妻と子どもを兵庫の実家に戻すようにした。寂しかったが、減量やトレーニングに集中するための苦渋の決断。08年9月、4年半ぶりの挑戦で念願の世界チャンピオンになった喜びはひとしおだった。

  ■西岡さんの声価を高めたのが海外での勝負強さ。09年にメキシコで地元の英雄を破り、11年には最高峰の舞台である米ラスベガスで日本の王者として初の防衛を果たした。

 海外での試合は開放感があり、肌に合っていた。相手の地元で倒せば名が上がるとわくわくしていた。

 高校1年の頃、加古川のジムの会長からフィリピンの名門ジムに武者修行に出してもらった。道路沿いのリングで草試合をしたり、プロの興行の合間に試合をしたり。そういう経験が後に生きたのかもしれない。

  ■プロ生活の大半は東京で過ごしたが、ジムの開設では関西以外、頭になかった。

 東京は色々な所から人が集まり、「働く場」という印象がある。僕にとっての東京は「戦場」だった。現役時代の過酷な減量中、妻の手料理とともに「あれが食べたい」と思い出したのは関西の店ばかり。生まれ育ち、思い入れのある関西でジムを開くのは当然のことだった。2店目は大阪に出したいと思っている。

 今はあらゆる世代の方を指導している。全身運動のボクシングは上半身の回転もあり、おなかの引き締めにいい。年配の方の運動というとウオーキングやランニングを思いつくだろうが、ボクシングは反射神経が鍛えられ、脳にもいい。

 会員さんで、68歳の会社経営の男性は本当にエネルギッシュ。もちろん殴り合いはせず、楽しんでトレーニングしている。「ボクシング=危険、怖い」というイメージが強いと思うが、健康にいい面に焦点を当てて楽しさを味わってもらいたい。平均寿命が伸び、定年年齢も引き上げられる傾向の中、多くの方が息長く活躍するためのお手伝いができたらと思っている。

(聞き手は大阪・運動担当 合六謙二)

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