千葉市、中央区役所を複合施設に移転(潜望展望)

2017/10/30 22:00
保存
共有
印刷
その他

千葉市が中央区役所の移転準備を急いでいる。市美術館と同じビル内の区役所は2019年5月に、市の複合施設「きぼーる」内に移る計画。これに伴い、市の外郭団体が運営する起業家向け貸しオフィスをきぼーる内から退去させる。5月の市長選で浮上した移転論には4つの理由がある。

中央区役所の移転先になる複合施設「きぼーる」(千葉市)

区役所移転は市長選で3期目を目指す熊谷俊人市長が公約に掲げ、当選した。背景にはまず、同じビル内の市美術館の拡張問題がある。市美術館は米ボストン美術館と組んだ浮世絵展など企画展の開催に積極的で、かねて拡張を求める声が上がっていた。現在は7~8階が展示室だが、区役所が入る3~5階が空けばスペースを確保できる。東京五輪前の20年7月の改装開業を目指す。

では、区役所はどこに行くのか。そこに2つ目の理由がある。市の外郭団体、市産業振興財団が運営する中小・ベンチャー企業向けのビジネス支援センターがきぼーる内から退去した跡が移転先だ。

同センターは移転に伴い、事業を縮小する。現在はきぼーる内に20~30平方メートルの貸しオフィスを14室用意し、起業家に低賃料で貸し出している。移転後は貸しオフィスをなくす代わりに、民間オフィスで起業を支援する。市の審査を通過した起業家にオフィス賃料を補助する。

現在の貸しオフィスは数に限りがあるが、今後はより多くの起業家を支援できるようになる。熊谷市長は同センターの事業縮小について「行政が抱える施設に企業を呼び込むやり方は非効率だ」と説明する。

きぼーる内の保健福祉センターと区役所の両方に用事がある市民の利便性向上も理由の一つだ。現在は約300メートル離れているが、移転後はワンストップで手続きなどを済ませられる。

4つ目は市美術館やきぼーるなどがある中心市街地を活性化させる狙いだ。市美術館の拡張で集客力を高めるとともに、かつて千葉県内の商業の中心地だったきぼーる周辺に人を集め、近隣商店街のにぎわい創出につなげる。

区役所移転を巡っては市議会でも反対の声は少ない。きぼーるを含め公共施設の相次ぐ建設は市の財政悪化の一因になった。区役所移転の成否は人口減時代に備えた行政の効率化や地域活性化を進める上で1つの試金石になりそうだ。

(千葉支局 児玉章吾)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]