安全保障や国際関係について日米の元政府高官らが話し合う国際会議「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が29日、東京都内で開かれた。「サード・オフセット戦略と日米協力」のパネル討論では、防衛技術での日米協力の進展を期待する声が目立った。
今回が4回目の富士山会合は28日に東京都内で始まり、29日午後に閉幕した。核・ミサイル開発問題で緊迫する北朝鮮問題などが主な議題となった。
29日の討論会で米国のフランク・ケンドール前国防次官は「兵器の技術開発の中心は民間が担っている。日本は重要なパートナーだ」と述べた。
渡辺秀明・前防衛装備庁長官は「日本は優れた素材研究を保有している。米国との融合で革新的な装備を生み出せる」と述べた。
米国のウイリアム・シュナイダー前国防科学政策委員長は「(データの特徴を自ら捉える)深層学習(ディープラーニング)は軍隊の指導者に洞察を与えられる」と述べ、人工知能(AI)を用いた軍事技術の発展に期待。アーサー・ハーマン・ハドソン研究所研究員は「日本は(スーパーコンピューターを上回る)量子コンピューターの研究能力が高い」と述べ、暗号化技術などで貢献できると指摘した。
西正典・元防衛次官は「日米は財政が逼迫している」として、効率的に防衛能力を整備する重要性を訴えた。中国の軍事的な台頭についてケンドール氏は「旧ソ連は製造技術は乏しかったが、中国の装備能力は奥行きがある」と語り、警戒感を示した。西氏は「最近の中国と北朝鮮の動きで自衛隊員には負荷が増している」と指摘した。