2019年7月18日(木)

カタルーニャ州、独立宣言 スペインは自治権停止承認

2017/10/27 22:49 (2017/10/28 0:49更新)
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【バルセロナ=白石透冴】スペイン上院は27日、独立問題が長引く北東部カタルーニャ州の自治権停止を承認した。これを受け、中央政府は州首相らの解任などに踏み切る。現行憲法下で初となる異例の強硬措置は副作用が避けられないが、経済にも悪影響を及ぼし始めた事態の収拾を優先した。中央政府に抵抗した州議会は同日、独立を宣言した。

州都のバルセロナはマドリードに次ぐスペイン第2の都市。同国の混乱は長引く可能性が高い。

ラホイ首相は27日、上院で「州政府は法を無視した。他に選択肢はない」と述べ、自治権停止への支持を訴えた。ラホイ政権は21日、憲法155条に基づいた自治権停止の措置を閣議決定していた。上院がこれを承認したことで、ただちに自治権を停止する。上院はラホイ氏の率いる国民党が過半数を占めている。

中央政府が自治権停止の一環でまず実行するのは人事だ。独立問題の責任を問うため、プチデモン州首相や州政府閣僚を解任する。当面、後任は置かずラホイ政権の閣僚が担当分野を所管する。

さらに独立派が過半数を占める州議会も解散する。6カ月以内に選挙を実施し、独立の是非をめぐる民意を問い直す。州警察や公共メディアの管轄権も中央に移す。ただ、州の公務員は独立派も多く、抗議のストなどに発展すれば、行政サービスが滞る恐れもある。

現行憲法は1978年、フランコ独裁後に制定されたが、自治権の停止は初めて。憲法は国家の利益を大きく害する自治体に「必要な措置」を強制できる強硬な内容を規定する。ラホイ氏は同規定の行使に慎重だった。

だが、異例の強硬措置を実行するのは、独立問題が長引けば、経済への悪影響が深刻になるためだ。同州は国内総生産(GDP)の約2割を稼ぎ出す国内有数の豊かな地域。積水化学工業など日本企業の拠点も多い。政治リスクをみて企業の活動は慎重になり始めている。スペインは独立問題で内需が落ち込むとして、すでに2018年のGDP成長予測を従来の2.6%から2.3%に下方修正した。

州の自治権停止という劇薬は副作用が生じかねない。一つは、独立派を勢いづかせる懸念だ。州都のバルセロナでは連日、独立派のデモが続いている。独立反対派の中にも自治権は尊重されるべきだと考える人が多い。フランコ独裁を記憶する世代にとって、自治権を失うことには強いアレルギーがある。

そんな州内の世論を押し切り、自治権を停止するラホイ政権への不満は、独立の賛成・反対を問わず高まりかねない。バルセロナ市内では27日、州議会付近に独立賛成派が集まった。州議会の投票を見守り、州政府を支持する声を上げた。中央政府がもくろむように州議会選挙を実施しても独立派がまた過半数を握る可能性がある。

州政府は27日、州議会を招集。独立宣言を賛成多数で可決した。州は強硬な姿勢を強める中央に徹底抗戦する構えを鮮明にした。

中央政府は州の独立宣言を認めない。独立国家が国際的に認められるにも他国の支持が不可欠。欧州連合(EU)のトゥスク大統領は27日「我々が対話するのはスペインだけだ」と州の独立宣言に否定的な見解を示した。米国務省も同日「カタルーニャはスペインの一部だ」との報道官声明を発表し、独立を支持しない考えを示した。州が独立国として承認される可能性はほとんどない。

欧州でくすぶる民族の独立や自治権拡大の動きに火を付ける可能性もある。同じスペインのバスク州や、英北部スコットランド自治政府ではカタルーニャ州の独立運動を支持する動きが出ている。イタリア北部の2つの州でも22日、自治権拡大を問う住民投票で9割超が賛成した。

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