2018年1月22日(月)

欧州、極右台頭が重荷に オランダ、苦肉の第2党排除
連立政権発足まで7カ月

ヨーロッパ
2017/10/26 19:38
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 【ブリュッセル=森本学】オランダで26日、第3次ルッテ内閣が発足した。3月の下院選から政権発足まで戦後最長の7カ月もかかった。第2党に躍進した極右の自由党との連立を拒んだルッテ氏率いる自由民主党と他党との協議は難航。政権発足後も厳しい政権運営は必至だ。移民流入などを機に広がった「既存政党離れ・極右増長」の構図はオランダ以外にもみられ、欧州政治が不安定になる恐れをはらむ。

 ルッテ首相ら閣僚は26日、ウィレム・アレクサンダー国王の立ち会いの下で就任宣誓式を行い、新内閣が発足した。中道右派の自由民主党のほか、中道右派のキリスト教民主勢力、中道左派リベラルの民主66、中道のキリスト教連合の4党が連立政権を組んだ。

 ルッテ氏は続投するが、連立を組む4党の下院(定数150)での議席数は合計で76議席と、半数を1議席上回るだけの不安定な枠組みだ。政治的スタンスがバラバラな4党が連立を選んだ最大の狙いは極右・自由党の政権からの締め出しだ。

 自由党は「反イスラム」や移民排斥を訴えるポピュリスト(大衆迎合主義)政治家、ウィルダース氏が率いる。3月の下院選前は一時、世論調査でトップを独走。欧州に極右やポピュリズムへの警戒が強まった。自由党は第1党を逃したが議席を伸ばし、初めて第2党の座を確保した。

 一方、第2次ルッテ内閣で連立相手だった中道左派の労働党は歴史的敗北を喫し少数政党に陥落。ルッテ氏は自由党との連立を選挙前から拒んでいたため、過半数の確保へ異例の4党による連立交渉を余儀なくされた。

 キリスト教系の2党からリベラル色が強い民主66まで政治スタンスが大きく異なる4党の政策協定のとりまとめは難航。選挙翌日から内閣発足までにかかった日数は225日と、これまで過去最長だった1977年の208日を上回った。

 4党の政策協定では移民排斥を掲げる自由党の台頭を許した移民・難民政策で、従来より厳しい姿勢を打ち出した。欧州連合(EU)域内へ難民らが無秩序に押し寄せるのを防ぐため、難民や移民らの出身国と同地域の「安全な第三国」で難民申請を受け付ける仕組みの整備を表明。申請手続きの厳格化や、申請が却下された際の本国送還も強化する。

 財政政策は規律重視から成長重視へ軌道修正する。法人税率下げや個人所得税減税を掲げたほか、社会保障や教育などの支出拡大も盛った。下院選ではルッテ政権が進めた福祉削減への批判票が目立ち、労働党の大敗をもたらした。自由党が医療費の自己負担廃止などを訴え、左派支持層を取り込んだのに対抗する。

 極右政党の政権入りを他の主要政党などが連携して阻む手法は「防疫線」と呼ばれるが、その効果には疑念も多い。例えば15日の下院選で極右の自由党が第3党に台頭して連立協議が続くオーストリア。自由党が前回政権入りした2000年にはEU諸国が「防疫線」を張って外交面で冷遇したが、結局は今回の下院選が躍進を招くなど国家主義的な感情をあおっただけとの批判がある。

 オランダは18年3月に地方選がある。4党の足並みが乱れて政治不信を深めれば極右のさらなる台頭を招き、政権獲得を許す事態も視野に入る。

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