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太陽光拡大で「廃パネル問題」浮上、リサイクル事業相次ぐ

太陽光発電パネルをリサイクルする新事業が相次ぎ動き出す。環境意識の高まりで急速に普及してきた太陽光発電だが、拡大が進むにつれ、将来、パネルの廃棄物が大量に発生する懸念も出てきたためだ。太陽光パネル製造装置開発のエヌ・ピー・シー(NPC)は11月にリサイクル用設備を本格稼働し、三菱マテリアルも設備の試験運転を始めた。「廃パネル問題」が再生可能エネルギーの普及に欠かせない課題に浮上している。

NPCは26日、産業廃棄物処理の浜田(大阪府高槻市)と折半出資で設立した企業の拠点(東京都大田区)を公開した。廃パネルのリサイクル設備を試験運転しており、11月から本格的な受け入れを始める。

設備ではパネルのアルミフレームを外した後、残ったガラスと電池部材を「ホットナイフ」と呼ぶ250度に加熱した刃で切り離す。「50秒で1枚のパネルを分離できる」とNPCの伊藤雅文社長は胸を張る。

従来はガラスと電池の分離が難しく、まとめて粉砕していた。このためカドミウムや鉛といった有害成分が混ざり、最終処分場で廃棄するしかなかった。だが、分別すれば有価物としてガラスを販売でき、電池部材からは銀の回収が見込める。

伊藤社長は「環境にやさしいはずの太陽光パネルが有害物として埋め立てられるのはたまらない」と話す。まずは不良製品として廃棄されるパネルの需要を見込み、東京の拠点で年間1万枚のリサイクルをめざす。愛媛県や大阪府でも新ラインの導入を検討する。

太陽光発電は温暖化ガスを排出しないエネルギーとして、2012年開始の固定価格買い取り制度(FIT)の後押しを受けて建設が急増した。FITの導入前は約500万キロワットだったが、導入後は3000万キロワット以上の太陽光発電所が建設された。

だが、太陽光パネルにも製品寿命がある。環境省が寿命を25年として試算したところ、20年の廃棄量が2800トンの見込みなのに対し、40年には280倍の約80万トンになるという。これは最終処分場の埋め立て廃棄物全体の6%を占めるほどの量だ。

こうした事態を防ぐため、環境省はガイドラインを作成。企業に対策を促しており、関連ビジネスが相次いで動き出した。三菱マテリアルはパネルの貴金属を精錬所で再資源化できる強みを生かして参入を計画。すでに装置の実証を始め、18年度には年6000枚の受け入れを始める見通し。

太陽光発電の施工を手がけるネクストエナジー(長野県駒ケ根市)は廃棄物処理会社などと組み、18年度に関東で廃パネルの再利用設備を本格稼働する。ネクストエナジー・アンド・リソースの伊藤敦社長は「欧州に比べ、パネルリサイクルは遅れている。国内での処理需要はすでに生まれつつある」と対応を急ぐ。

昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティアも低コストで太陽電池を分解する技術開発を進める。再生可能エネルギーの現場では、発電の効率やコストにとどまらず、リサイクルに関する競争も熱を帯びてきた。

(大平祐嗣)

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