2017年11月21日(火)

東芝メモリ売却で注目の「指図権」って何?

東芝
エレキ
法務・ガバナンス
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2017/10/27 6:30
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 経営再建中の東芝は、半導体子会社「東芝メモリ」を総額2兆円で米ベインキャピタルを中心とする日米韓連合に売却する手続きを進める。産業革新機構と日本政策投資銀行は東芝メモリの議決権を間接的に行使できる「指図権」を東芝から得る予定で、米ウエスタンデジタル(WD)との係争解消後に資本参加する意向だ。耳慣れない指図権とは何か、信託法などに詳しい筑波大学の星野豊准教授に聞いた。

東芝メモリ四日市工場(三重県四日市市)

東芝メモリ四日市工場(三重県四日市市)

 ――指図権とは、どのような権利ですか。

 「財産の管理を他人に委託する信託など特別な形で財産を管理する際に登場する場合がある。財産の権利者から依頼を受け、具体的な管理方法や処分の判断を財産の管理者あるいは経営者に対して『指図』する権利を指す。実質的に財産の権利者の委託を受け財産を管理する権限の一種だ」

 ――どのような場面で使われますか。

 「利益追求を目的として財産を管理する証券投資信託を中心に昔から使われてきた。管理を委託された信託銀行などが直接投資判断をするのではなく、より投資の専門知識が豊富な投資会社などに指図権を与え、財産管理における関係者として組み入れてきた」

 「似た方法として、例えば信託銀行が代理人を選任して投資判断をさせる場合がある。だがここでは原則として信託銀行がいつでも代理人を解任できる。一方、指図権を設定した場合、指図権者は信託銀行から独立した存在となるため、信託銀行に対する監督権限を持つことが特長となる」

 ――指図権を設けるメリットを教えてください。

 「信託銀行は財産管理の専門家だが、特定分野の投資では各方面により詳しい専門家がいるはずだ。指図権を設定すれば、信託銀行は財産全体の投資動向の総合的な管理に専念できる」

 「ただ、指図権は指図できるだけだ。重要なのは最終的な責任が指図を受けた財産の管理者側にある点だ。管理者は専門家である指図権者の指図に従っていればいい訳ではない。指図を受けても自身の責任と判断で対応する必要がある。医師からアドバイスを受けても、どのような治療を受けるかは最終的に自己の判断と責任で決めなくてはいけないという認識と近い」

 ――東芝メモリの売却ではどうなりますか。

 「今回は日米韓連合が設立する買収目的会社『パンゲア』が東芝メモリの全株式を買い取る方式になっている。パンゲアは買収だけを目的とする会社であるため、実質的には株式保有が目的の信託財産の一種と考えて差し支えない」

 ――過去にも同様の事例はありますか。

 「企業買収の過程でこのような形式がとられたことは、少なくとも報道されるレベルの大規模な事例としてはなかったように思う。ただ、関連する信託法は百年近く前からある法律で、企業買収でどのような法律上の関係を採用するかは当事者次第だ。なぜこの形式にしたのか、狙いは当事者でなければ分からない」

 ――どのような意図が考えられるのでしょう。

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