所有者不明土地に利用権新設 通常国会に特措法
国交省方針
国土交通省は25日、所有者が分からないまま放置されている土地について、新たに利用権を設定して公益性のある事業に活用できる制度を創設する方針を明らかにした。街づくりなどでの利用に明確に反対する人がいない場合、都道府県知事の裁定で利用できるようにする。来年の通常国会に所有者不明土地に関する特別措置法案の提出を目指す。

同日開いた国土審議会の土地政策分科会特別部会(部会長・山野目章夫早大大学院教授)で説明した。
新制度では、土地利用を計画する自治体や民間事業者が都道府県知事に申請。地元市町村の意見を聞き、知事が裁定すると利用権を設定できる。利用は5年など一定期間で区切り、所有者が現れなければ更新する。
所有者が現れた場合は原状回復して明け渡すのを原則とするが、所有者が了解すれば利用を継続できる。所有者が現れた場合に備え、利用期間の賃料に相当する金銭を供託しておく。公益性のある利用目的としては公園や広場、文化施設などを想定している。
所有者不明土地を巡っては、所有者の死後に相続登記が行われないなどの理由で土地取得が進まず、まちづくりに支障が出る事例が発生している。現在は利用には原則すべての所有権者の了解が必要なため、相続した親族らをたどって所有権者を探す自治体の事務負担も重くなっている。
農地では持ち主が分からない耕作放棄地について、農地法の規定に基づいて都道府県知事が利用権を与える制度がある。
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