2018年7月21日(土)

勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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サッカーの秋に思う 経験や立場が人をはぐくむ

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2017/10/27 6:30
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 10月はいろいろなカテゴリーのサッカーの試合が目白押しだった。インドで開かれた17歳以下のワールドカップ(U―17W杯)で未来の日本を背負う少年たちは決勝トーナメント1回戦で涙をのんだ。フル代表はニュージーランド、ハイチと不安が残る試合をしたけれど、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に目を転じるとJリーグの浦和が10年ぶりの決勝進出を果たしてくれた。

世界、アンダーエージ育成に注力

 U―17W杯を通じて、世界はアンダーエージの育成の力を入れていることをあらためて痛感した。特に目を見張るのがイングランドの躍進だ。今年5月に韓国で行われたU―20W杯でイングランドは初優勝したけれど、U―17の方も決勝に進出した。フランスやドイツ、スペインのアンダーエージの充実に「サッカーの母国」としても大いなる刺激、競争心をあおられたに違いない。

 イングランドといえば、プレミアリーグが隆盛を誇る一方で、代表チームは目を見張る成績を残せているわけではない。しかし、こうやって彼らがアンダーエージの強化に本腰を入れているさまを見れば、フル代表もきっと明るい未来が待っているのだろう。

 そんなイングランドに、U―17W杯の日本代表は決勝トーナメント1回戦でPK戦によって敗れた。実に悔しい敗戦だった。前半こそ彼らに主導権を握られ、苦しい戦いを強いられたが、後半の途中から完全に盛り返し、あわやというチャンスと何度もつくった。大会規定により、90分終了時点で同点の場合、延長戦は行わず即PK戦に突入したが、体力を失い、青息吐息のイングランドに、日本は仮に延長戦が行われていたら完全に勝っていただろう。それほどの惜敗だった。

 試合後のロッカールームで日本の選手たちは悔し涙にくれたと聞く。日本に勝ったイングランドが準決勝まで進んだとなれば「俺たちもPK戦に勝てていたら……」という悔しさは余計に募ることだろう。

 私にいわせれば、その悔し涙は決して無駄にはならないと言い切れる。初めて出た世界大会で一敗地にまみれたとき、まだ少年だった中田英寿や松田直樹(故人)もワンワン泣いたものである。敗れたことは残念だが、仲間と固い絆で結ばれ、戦い、共有した涙はとても貴重なものだ。一つの大会は終わっても、フル代表としての未来は、その涙から始まるのである。

 そういう経験を日本のアンダーエージの選手たちが積めるのは、やはりU―17やU―20のW杯しかない。日本ではひところ、「選手は代表で鍛えるものではなく、クラブで鍛えるものだ」というフル代表の論法を育成年代にも当てはめようとする意見が出回り、アンダーエージのW杯を軽視するような風潮まであった。が、背負うものが桁違いに大きいナショナルチームの戦いを他の何かに代替えさせることなど不可能なのである。

 そういう意味で日本の未来は明るい。立て続けにU―20もU―17もW杯に出場した日本の少年たちは、うれし涙も悔し涙も流し、「負けた借りはこの先のステージで必ず返す」という覚悟を持てた。これはとても大事なことだ。

 悔しい思い、屈辱を味わい、雪辱を誓うこと。それを次の幸せにどうつなげていくかに全知全能を傾けること。そういう刺激を受ける場がインドにはあった。感情に刺激を受けることが一番の財産であり、勝者のメンタリティーを獲得する第一歩にもなる。

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