マツダ、「凜」と新コンセプト車 引き算の美学追求

2017/10/25 9:01
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マツダは25日、報道陣向けに公開した「第45回東京モーターショー2017」にあわせ、将来の車のデザインの「道しるべ」となるデザインコンセプト車を発表した。テーマは「凜(りん)」。日本の美意識を追求し、シンプルな立体構成とした。今後、コンセプト車にできるだけ近いデザインの商品群を投入する。自社商品群に共通するデザインで個性を打ち出し、値引き競争に頼らない強いブランドをつくる狙いだ。

マツダが25日発表した新デザインコンセプト車「ビジョン クーペ」(手前はデザインを統括する前田育男常務執行役員)

マツダが25日発表した新デザインコンセプト車「ビジョン クーペ」(手前はデザインを統括する前田育男常務執行役員)

デザインコンセプト車は「ビジョン クーペ」。「日本庭園、生け花、書道、俳句。日本人は余白を味わう感覚を生まれながらに持っている。この感覚を大事にしたい」。デザイン統括の前田育男常務執行役員は狙いを説明する。「引き算の美学を追求し、全体から余分な要素を徹底して削り落とした」とした。

フロント(前部)からリア(後部)まで鋼のしなりを感じさせる強い1本の軸を通して、立体の動きをその軸にあわせた。一方で、車が動いたときの光と影の変化を重視し、繊細なバランスで作り込んだ。職人の技を中心としながらも光と影の変化はデジタルシミュレーションを活用して緻密に設計した。

マツダは2010年にデザインコンセプト車「SHINARI(しなり)」を発表。単なるコンセプトではなく、その後に発売した乗用車「アテンザ」や多目的スポーツ車(SUV)「CX」シリーズのデザインに大きく反映した。

マツダは個性を打ち出すためにデザイン戦略を強化してきた。商品のデザイン刷新に呼応するかたちで、店舗も改装を進めている。黒と木目で高級感を演出する「新世代店舗」を、14年から導入。9月末時点で118店が新世代店舗だ。米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)など海外でも同様の取り組みを進める。

マツダが25日発表したデザインコンセプト車は職人技を中心にデジタルのシミュレーション技術も活用し光と影を緻密にコントロールした。

マツダが25日発表したデザインコンセプト車は職人技を中心にデジタルのシミュレーション技術も活用し光と影を緻密にコントロールした。

根底にあるのが値引き競争に巻き込まれないブランドの構築だ。収益を確実に確保して、経営を安定させる。浮沈の歴史を持つ中堅メーカーマツダが身につけた「処世術」だ。

日本インダストリアルデザイナー協会の田中一雄理事長(GKデザイン機構社長)は「所有する喜び、乗る喜びを提供するのが自動車のデザインの原点。マツダは明快なデザインで個性を出している」と話す。デザインを追求し数量限定などで個性を打ち出すメーカーは自動車に限らず、家電業界にもあると指摘したうえで、「マツダが違うところは量産までそれをやりきるところだ」と評する。

自動運転や電気自動車(EV)、シェアリングなど新たな課題が降りかかり、自動車のコモディティー化(汎用化)が懸念される自動車業界。デザインを愚直なまでに追求する姿勢は、デザイナーの主張にとどまらず、マツダ全体にとって、大きな財産になるだろう。

(湯沢維久、広島支局 後藤健)

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