2017年11月22日(水)

「古民家をホテルに再生」バリューマネジメント(関西企業のチカラ)
現代風料理と歴史 味わう

関西
2017/10/24 2:00
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 バリューマネジメント(大阪市)は、築100年を超える老舗料亭や日本家屋といった歴史的建造物を改装した結婚式場や宿泊施設を運営する。内部の改装は最低限にとどめ、現代風の料理とともに建物の雰囲気を味わってもらうのが特徴だ。結婚式や旅行など「ハレの日」を歴史がある建物で過ごしたいと希望するカップルや年配の夫婦を中心に客足を増やす。

古民家を再生した宿泊施設「篠山城下町ホテルNIPPONIA」(兵庫県篠山市)

古民家を再生した宿泊施設「篠山城下町ホテルNIPPONIA」(兵庫県篠山市)

 古い日本家屋が立ち並び、城下町の雰囲気が残る兵庫県篠山市。同社は2015年秋から古民家をホテルに再生するプロジェクトに取り組む。篠山城周辺の5棟を改装。客はフロントで受け付けを済ませ、自動車で点在する宿泊棟に移動する。

 客室やレストランのある「ONAE」は地元の銀行家が明治時代に建てた日本家屋だ。中は木のにおいが漂い、風が建物を揺らす音が聞こえてくる。格子などの装飾は所有者が生活していた当時のまま。客室には高級ベッドを置き、レストランでは地元食材を使ったフランス料理を提供する。

 京都市から娘と食事に訪れた年配の女性は「古い建具を見ながらすてきな時間を過ごせた」と話した。1泊2食付きで2万円台からと安くはないが、毎年秋は週末を中心に京阪神や首都圏の客でほぼ満室という。

 同社は現在、関西を中心に10カ所以上の施設を運営する。事業の先駆けが、京都市の老舗料亭「鮒鶴」の再生だ。鮒鶴は大正時代に鴨川沿いに建てられた5層の和風建築で、国指定の登録有形文化財。08年に運営を始める前は業績が振るわない別名の結婚式場だった。

 他力野淳社長が所有者にまず提案したのが長年親しまれた「鮒鶴」の名称の復活だ。さらに料理やサービスを見直して挙式単価を200万円台から300万円台に引き上げた。和モダンの雰囲気を好む客層に対象を絞り、年450組が挙式する人気施設となった。

 同社は建物所有者に改装資金を負担してもらい賃借で施設を運営する。大手に比べ資金は乏しいものの、歴史的建造物を所有する個人や自治体から再生の依頼が数多く舞い込む。今後は情報発信を増やし訪日外国人客の取り込みに力を入れる。

(池田拓也)

■トップの一言 大震災を経験、建物再生の契機

「アクセスは悪くても訪れる価値があると認めてもらえる施設づくりが重要」と話す。地方都市で築100年以上の古民家や歴史的な街並みを視察するたび、「よくこんなにきれいに残っているなあ」と感心する。

 神戸市育ち。阪神大震災で街並みが一変したという体験が、現在まで無事残った歴史的な建物の再生に取り組む同社を立ち上げるきっかけになった。新卒採用で「生まれ育った街並みの保存・再生に取り組みたい」という学生が増えていることを心強く感じている。

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