2018年11月14日(水)

モービルアイ、米インテル傘下で研究開発を強化

自動運転
2017/10/24 6:30
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米インテルが153億ドル(約1兆7千億円)で買収した、画像認識用半導体のモービルアイ(イスラエル)は、自動運転など次世代自動車の研究開発を強化する。本社の近くに大型社屋を建設し、インテルが米国に置く自動運転関連の事業部門を移転し陣容を拡大する。次世代自動車を巡って覇権争いが激化しており、連携を深めることで、インテル・モービルアイ連合は、技術開発を優位に進めたい考えだ。

インテルとモービルアイは連携を深めて開発を急ぐ(モービルアイのシステムを搭載した自動運転車)

インテルとモービルアイは連携を深めて開発を急ぐ(モービルアイのシステムを搭載した自動運転車)

モービルアイが建設するメインとなる新社屋は地上30階建てとなる見通しで、4万5千平方メートルの敷地に関連施設も収容、インテル・モービルアイ連合の自動運転技術の司令塔となる。現在、エルサレム近郊のモービルアイ本社には660人程度の社員が所属するが、将来は4千人ほどになる見込みだ。

インテル・モービルアイ連合は自動運転車の開発を急ぐ。まずは自動運転のテストカー100台以上を、年内に用意する計画だ。

米国自動車技術会(SAE)が定める自動運転のレベル4を想定。レベル4は環境は限られるが、原則として運転手の対応が不要なレベル。テストカーを米国、イスラエル、欧州で試験運転する予定だ。

モービルアイの創業者で会長兼最高技術責任者(CTO)を務めるアムノン・シャシュア氏は、イスラエル紙に対し「地域によって運転スタイルや道路、標識が異なる。最終目標は、どんな環境にも対応できる自動運転車を完成させることだ」と語り、試験運転の狙いを強調している。

インテル・モービルアイ連合の射程範囲は、従来のモービルアイが得意としてきたセンサーなどの技術にとどまらない。このほどドイツで開かれた自動車技術の会議で、インテルの自動運転部門トップは「包括的なコンピューターによるソリューションを自動車業界に提供する」と強調した。

両社による開発で想定されるのは、(1)インテルのプロセッサーと、モービルアイのチップを基にした自動運転のプラットフォームの開発(2)次世代通信規格「第5世代(5G)」によるクラウドと自動車の接続(3)走行する自動車から生み出される莫大なデータの処理――などの技術だ。

モービルアイは1999年創業で車載カメラによって周囲の車両との距離や障害物などを瞬時に認識・識別する画像処理技術に加え、画像を使った運転支援システムに強みを持つ。インテルは3月に同社にとって史上2番目となる巨額でモービルアイを買収している。

インテルは2030年には約8兆円と推定される自動運転車市場の主導権を狙っており、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を戦略分野に位置づける。

特に大量のデータ処理が必要となる自動運転車は、インテルの強みを生かせる有望分野とみて力を入れており、モービルアイとの連携を強みに、自動運転に関する技術への投資も積極的に進めていく見通しだ。

車載半導体、競争激しく

自動運転車の「頭脳」を巡って競争が激しくなっている。スマートフォン(スマホ)向け半導体大手の米クアルコムは昨年、車載半導体最大手のNXPセミコンダクターズ(オランダ)を買収。半導体メーカーは今後の成長が期待される車載市場を有望視する。

自動運転が主流になると、運転状況を認知するために各種センサーや半導体が用いられる。1台の自動車が1日に生み出すデータ量は、4テラ(テラは1兆)バイトにも達する見通し。現在の動画視聴で1日に使うデータ量の2000倍を超える膨大な量だ。自動運転ではこの情報量の効率的な処理が求められている。

これまで半導体メーカーが力を入れてきたスマホ分野は成長が鈍化しており、半導体メーカーは車載市場に注目。そのため半導体メーカーは巨額買収を急いでいる。クアルコムがNXPセミコンダクターズの買収に投じた金額は5兆円強。世界首位のNXPの車載半導体を手中に収めることで自動車分野に本格的に進出する狙いだ。

これがインテルを刺激した。スマホ分野で出遅れた苦い経験から、イスラエル企業の買収へ動いたとみられる。

そして急速に存在感を高めているのが、ゲーム用の半導体を開発してきた米大手エヌビディアだ。ゲーム用の画像処理半導体(GPU)を基に、車載人工知能(AI)を開発した。米テスラや独アウディなど自動車や部品メーカーと連携し、実用化を目指している。

自動運転による大量のデータ処理に必要な頭脳で競う各社を軸に、自動車・部品メーカーを巻き込む陣営作りが進む。

(エルサレムで、飛田雅則)

[日経産業新聞 2017年10月24日付]

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