2019年9月19日(木)

光・風でエコ狙い撃ち パナソニックのリサイクル工場(もっと関西)
ここに技あり

2017/10/23 17:00
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兵庫県加東市にあるパナソニック子会社のパナソニックエコテクノロジーセンター(PETEC)。近畿2府4県で廃棄された冷蔵庫や洗濯機、液晶テレビ、エアコンのリサイクルを担う同社は、2016年度に72万台を処理した。金属やプラスチックなど、家電から材料別に資源を取り出して再利用する。

高速で流れるプラスチック片にハロゲン光を当てる。反射光を測って種類ごとに選別する

高速で流れるプラスチック片にハロゲン光を当てる。反射光を測って種類ごとに選別する

01年の操業開始からの回収実績は、鉄は自動車27万5千台分、銅は奈良・東大寺の大仏140体分に相当する。分別した破片は種類ごとに溶かされ、再び家電を作るリサイクル材料となる。同社の強みは3種類のプラスチックをほぼ完全自動で分別する技術を確立していることだ。

数センチほどのプラスチック破片がオレンジ色の光に照らされながら、秒速3メートルの高速ベルトコンベヤー上を流れていく。コンベヤーの終端で破片が飛び出した瞬間、天井に並ぶ738個の小型空気銃が1つずつ打ち落とし、異なる材質ごとに3つの箱に仕分けする。ごみは取り除かれる。

冷蔵庫や洗濯機はモーターや熱交換器を取り外した後で、外枠などのプラスチック部分を破砕する。家電に使われるプラスチックには「PP」「PS」「ABS」と呼ばれる3種類の樹脂が含まれている。これらを分別する必要があるが、数センチ角のプラスチック破片はどれも見た目が同じ。通常は比重の違いを利用して水に浮くものと沈むもので分別するが、排水処理が必要で工程も複雑だ。

そこで開発したのが光を使った分別装置だ。ハロゲン光を当て、反射した光の波長を近赤外光センサーが捉えて3種類の樹脂を見分ける。コンベヤー上にある破片の位置はカメラで記録し、端から落下していく破片を空気銃で3つの箱に仕分ける仕組みだ。その精度は99%以上だ。

10年に導入したこの仕組みは、苦難の連続だった。様々な形の破片を狙い打ちするのは至難の業。「当初は3種類のうち1種類しか打ち落とせなかった」(PETECの北平吉浩社長)。絶えず後ろから風を送り込むことで破片の飛ぶ軌道を安定させた。

工場には年間1万人が見学に訪れる。うち1割ほどは海外からの訪問で、中国や韓国の学生らによる見学も多い。海外のリサイクル会社の関係者からも「これは良い」と高い評価を得ているという。

分別の技術を磨くことはリサイクル材料の価格競争力を高める。北平社長は「日本のリサイクル会社は手掛ける幅が狭い分、深度を深くしないといけない」と話し、高度化に向けて研究を進める。表面が黒く、光が反射しにくい破片でも高精度で分別できるよう、光の波長を調べる新たなセンサーを開発中だ。

文 大阪経済部 出村政彬

写真 淡嶋健人

〈カメラマンひとこと〉ハロゲン光の中をプラスチック片が通過する様子を写したいが、流れが速すぎて肉眼ではタイミングを計れない。秒間14コマの高速連写で撮影し、画像を1コマずつ確認する。白いプラスチックに混ざって流れる赤い導線が際立つ瞬間を、1枚だけ捉えていた。
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