2017年11月19日(日)

ホテル、地産地消で貢献 西日本の訪日観光調査
食材・土産「地元重視」85% 「従業員を増やす」も4割

関西
2017/10/21 2:00
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 インバウンド(訪日外国人)が増えるなか、西日本のホテルや旅館は食材や土産物の仕入れルートの選択で地元を重視していることが分かった。日本経済新聞社が実施した初の観光調査で明らかになった。3割の施設が雇用を増やし、4割が増員を予定している。仕入れ、雇用ともに商店街店舗の調査よりも高い数値となり、地域経済への好影響が期待される。

ホテルモントレ神戸は地産地消のレストランメニューなどで訪日客を獲得する(神戸市中央区)

 調査対象の宿泊施設に食材や土産物の仕入れルートを複数回答で尋ねたところ、回答した50施設のうち48が「地元から」と回答した。18施設が1年前と比べ地元との取引金額が増えたと回答、無回答を除く全体の38%を占めた。商店街店舗の調査では22%だった。調達先で「地元を重視」と回答した施設は85%と商店街店舗の35%を大きく上回った。

 雇用については29%の施設が1年前よりも「増やした」と回答。1施設当たりの増員数は平均で9.2人だった。39%が雇用増を予定しており、増員数は平均で6.4人だった。いずれも商店街店舗の回答を上回った。

 訪日客を迎えるための工夫などを複数回答で聞いたところ、93%の施設が「無料Wi―Fiの設置」と回答。次いで「インターネット予約への対応」が85%だった。無料Wi―Fiで59%、ネット予約で55%の施設が集客などに「効果があった」と回答した。

 これからの対策では「外国語に対応できる人材の確保」「従業員への外国語教育」を挙げた施設がともに24%と最も多かった。「外国語によるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)発信」は実施済みが5%に対し、今後の課題とする施設は21%だった。

 訪日客の予約方法について複数回答で尋ねたところ、38%の施設が「海外のサイトから」と回答した。「国内の旅行会社(代理店)から」の33%を上回り最も多かった。44%の施設が今後、海外サイトからの予約が伸びるとみている。

 調査には59の宿泊施設が回答した。これら施設の2016年の利用者は延べ7万3千人で、このうち訪日客は1万3千人余りと18%を占めた。訪日客の35%が2~3泊以上、連泊しており、国内客の22%を上回った。

■地元ならではの味提供

 西日本の宿泊施設が重視する食材や土産物の「地産地消」。訪日客などの利用者に地元ならではの味を提供している。

 神戸・六甲アイランドにある「神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ」では兵庫県産品を取り扱うマルシェで昨年3月から純米吟醸酒「県農 花てがみ」などを販売している。これは兵庫県立農業高校の生徒が同県加古川市の蔵元と醸造した兵庫県ならではの珍しい商品で売れ行きは好調だという。県産野菜や果物なども販売している。

 ANAホリデイ・イン金沢スカイ(金沢市)は治部煮や季節の加賀野菜を使った郷土料理をビュッフェ方式の朝食に提供している。「金沢らしさを感じてもらうことで他との違いを見せたい」と飯沼潔人総支配人。オリエンタルホテル広島(広島市)でも広島県府中市の名物「府中味噌」を使ったみそ汁など地元食材をふんだんに取り入れた朝食を提供している。

 山口県の周防大島では地元の旅館、ホテル、レストラン11社が全国的な人気を呼んだ「みかん鍋」に続き地元の魚とかんきつによる「太刀魚の鏡盛り」を開発。「味だけでなく見た目も大事」と語る山崎浩一氏が経営する旅館千鳥は首都圏を中心に島のリピーターが集まるようになった。

 高知市の旅館、臨水では地元素材を生かした創作料理に力を入れる。「まずは国内客に知ってもらい、外国人の宿泊にもつながれば」と女将の土ケ内美智子さん。台湾などアジアや欧米から地方を目指すリピーターの訪日客が増えている。「地産地消」のおもてなしを訪日客にも届けるには、待ちの姿勢ではなくSNSなどを活用した情報発信が欠かせない。

 <調査概要>クルーズ船の寄港数などをベースに金沢、舞鶴(京都府)大阪、神戸、広島、境港(鳥取県)、高松、高知、福岡、長崎、那覇の西日本11市を選び、各地の支社支局が選んだホテルや旅館に調査票を送付した。8月10日~9月25日に郵送で回収し、日経リサーチの協力を得て回答内容を分析した。有効回答数は59、回答率は26.5%だった。

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