東芝が内部管理報告、WH損失 成長ありきに問題
経営陣、過度に利益追求

2017/10/20 23:38
保存
共有
印刷
その他

東芝は20日、会計不祥事や米原子力発電事業での巨額損失計上を受けた内部管理体制の改善報告を公表した。歴代社長が達成困難な損益改善を社内に求め、これをけん制するガバナンスの不備が不祥事を生み出したと振り返った。米原発大手ウエスチングハウス(WH)の巨額損失については、2006年に買収した実績に引きずられ、一連のリスク判断が不十分だったと説明した。

東芝は10月12日、東京証券取引所から、内部管理体制に問題があるとして15年の会計不祥事発覚後に指定された「特設注意市場(特注)銘柄」を解除された。株主などステークホルダー(利害関係者)に対する改善報告の公表は16年8月以来で節目の時期に公表した。

報告書は過去の経営方針がゆがんでいたと指摘。会計不祥事を引き起こした時期に社長だった西田厚聡氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏は「財務会計の厳格さに対する真摯な認識が欠けた」とし、「短期的な利益を過度に追求する方針を踏襲してきた」と指摘した。

トップの強要をけん制すべき取締役会や指名委員会、監査委員会、内部監査部門は十分に機能せず、ガバナンスが形骸化したとし、社外人材登用など改善策を記した。「経営者の要求を実現することが最大の責務と認識するような風土」の改善に向けた意識改革の進捗も説明した。

東芝を苦境に陥れた米原発事業の巨額損失については、経営判断のプロセスと子会社の管理体制に問題があったとした。

東芝は06年に約54億ドル(現在のレートで約6100億円)でWHを買収した。11年の福島第1原発の事故後、経営環境は一変したが、その後もWHは拡大戦略を選択。15年に原発建設を手がける米建設会社を買い取り巨額損失の要因となった。

報告書では「既に成立した企業買収(=WH買収)を意識するあまり、リスク認識やリスク負担の許容性の判断に無意識のバイアスがかかった可能性がある」とした。「成長ありき、買収ありきの考え方で進めたリスク管理プロセス」に問題があったと指摘した。

東芝は13年に米テキサス州で液化天然ガス(LNG)供給事業に参画し最大で1兆円の損失を招きかねないリスクを抱えている。報告書は「契約は当時の経営トップが本件の推進に前向きな姿勢をみせる中で締結に至った」とし、リスク判断に甘さがあったと認めた。

経営判断のプロセス改善では、外部有識者も出席するリスク検討会を運営するなどの改善策を実施。子会社管理では、リスクが高いと判断したグループ企業を本社主導で管理する施策を取り入れたとしている。

東芝は今後も継続的に報告書をまとめるとしている。東証から委託を受け、東芝の特注銘柄指定解除の審査をした自主規制法人の佐藤隆文理事長は「(東芝の)内部管理体制は上場企業として最低限の水準となったにすぎない」と話している。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]