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豊島逸夫の金のつぶやき

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海外投資家日本株買い、本番はこれから

2017/10/20 9:34
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日本では「海外投資家」とひとくくりで論じられることが多いが、その実態は多様化している。

今回のいわゆる「外国人買い」について、結論から言えば、既に動いたのはほとんどがトレンドフォローの短期売買に徹するタイプのヘッジファンドだ。コモディティー・トレーディング・アドバイザー(CTA=商品投資顧問)などと呼ばれるグループで、すでに利益確定売りの機会を模索している。衆院選の「与党圧勝」予測に乗って買い上げてきたので、「噂で買ってニュースで売る」可能性も強い。仮に調整売りが進行すれば、再度買いから参入してくることも予想される。

一方、同じヘッジファンドでも中期的な世界経済動向を読んで動くグローバル・マクロ系は、「13連騰」相場には短期的過熱感を抱き、すぐに買いには入らない。日本株に注目していることは事実だが、衆院選期間中の経済政策論争もフォローして、慎重に買いのタイミングを計っている。ミクロの企業業績も入念にチェックしてくる。「グローバル」系ゆえ、日本株のライバルともいえる欧州株との比較も怠らない。

そして長期的株価トレンド形成に最も重要な長期投資マネーの代表格が、年金と大学基金だ。

このグループは相対的に運用には保守的ゆえ、「与党長期安定政権」への期待感は強い。常にリターンとリスクの最適ミックスを求める分散投資に徹しているので、保守的だが、ひとたび日本株運用方針が決まれば意外に大胆に日本株リスクを取りにくる。一定の量を買わねばリスク分散効果が出ないからだ。

この長期マネーはまだ実際に動いてはいないが、今後最も期待できる投資主体でもある。

さらにこのグループの特徴は、米国最大の公的年金カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)などのリーダー的存在が動くと影響されてフォローしてくることだ。従って決断は遅いが、本格的な買いが始まると一気に加速する可能性を常に秘める。

以上を総合してみると「外国人買い」の本番はこれから。これまでは「前座」にすぎず、しかも売買回転が速いので、上昇トレンドといっても持続性に欠ける。

筆者の体感でも、ニューヨークに行くとどうしても相手先がヘッジファンドとの対話が中心になるが、カリフォリニア州方面から招へいがあると、オフサイトと呼ばれる勉強会となる。職場から離れた場所でグループディスカッションの専門家がリーダーとなり、普段着で率直に議論を交わすのだ。バイサイド(投資主体)の人たちは、セルサイド(販売業者)からのリポートも読み込んだうえで、中立的な意見を求めてくる。最近相次ぐ日本企業の不祥事なども実態を詳細に調べている。「品質管理」に関する日米の価値観の違いや、日本企業特有の「赤信号、皆で渡れば怖くない」という集団心理は特に念入りな説明が必要だ。北朝鮮情勢に関する議論にも時間をかける。様々なリスク要因を吟味したうえで買いの結論に達したことを明確にファイルで内部に残すことが重要なのだ。そのために常に書記役が同席する。

筆者はそもそも「金」が年金の運用適格商品か、という議論からこの世界に出入りするようになったのだが、今では同じグループと日本株を論じる立場になった。

今年は運用成果も米国株上昇に助けられ、心理的にもこれまで「エキゾチック」とされ縁遠かった日本株のような新たな投資対象も真剣に考慮する心理的余裕も生まれていることが伝わってくる。

ヘッジファンドが一暴れしたところで、いよいよ期待の主役登場となるか。日本株が上昇トレンドを維持できるか、まさに正念場である。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸's OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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