2018年6月24日(日)

緊張の甲板、2秒で空へ 米空母の実戦訓練ルポ

2017/10/19 21:24
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 東京タワーの高さと同じ全長333メートルの甲板に、所狭しと並んだ空母艦載機FA18スーパーホーネットの数々。順番が来ると1機ずつ滑走路に進み、わずか60メートルの助走で次々に日本海の上空に飛び立った。スタートから時速200キロに達するまで、所要時間はわずか2秒。緊迫する北朝鮮情勢を映すように、米海軍が誇る最強の攻撃兵器が繰り返す実戦訓練は臨場感がみなぎっていた。

空母ロナルド・レーガンに着艦するFA18スーパーホーネット(19日、日本海)

空母ロナルド・レーガンに着艦するFA18スーパーホーネット(19日、日本海)

 朝鮮半島の有事となれば、米軍の対北朝鮮作戦の中核を担うのが、原子力空母ロナルド・レーガンだ。同艦と空母艦載機66機は19日、日本海の洋上で日米韓メディアに米韓合同軍事演習の様子を公開した。

 「今すぐハシゴから下りろ」。空母の最上部から訓練を監視していた総責任者「エアボス(空の大将)」が、マイク越しに怒鳴った。FA18が着艦態勢に入ったのに、水兵の一人が甲板からコックピットに登るハシゴに取り残されていた。このままでは爆風で吹き飛ばされかねない。急きょFA18は高度を上げて甲板から離れ、水兵は慌ててハシゴを駆け下りた。

米空母ロナルド・レーガンの甲板に並んだ戦闘機FA18スーパーホーネット(19日、日本海)

米空母ロナルド・レーガンの甲板に並んだ戦闘機FA18スーパーホーネット(19日、日本海)

 日本海の演習で、空母の後方にはミサイル駆逐艦のステザムが随行した。朝鮮半島西側の黄海では駆逐艦マスティンが展開。米艦船の演習は、北朝鮮を挟む形で進んだ。

 「北朝鮮のあらゆる挑発に対応する」。空母打撃群司令官のダルトン少将は力を込めた。もう1隻の空母、セオドア・ルーズベルトが、近く中東の任務に向かう途中でアジアを通過する。ダルトン少将はレーガンとルーズベルトが共同訓練する可能性を「大いにあり得る」と語った。複数の空母が西太平洋で訓練し、北朝鮮への圧力を一段と強める狙いだ。

米空母ロナルド・レーガンで訓練する戦闘機FA18スーパーホーネット(19日、日本海)

米空母ロナルド・レーガンで訓練する戦闘機FA18スーパーホーネット(19日、日本海)

 通常、米韓が春と夏に実施する年次合同演習は、日本海が中心となる。今回のように黄海側にも艦船を展開したのは異例のことだ。日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員は「黄海側には北朝鮮の最大の抑止力である1万を超える重火器が並ぶ。ソウルを瞬く間に火の海にしかねず、有事には真っ先に除去しなければならない。黄海の訓練はこれをたたくというシグナルだ」と語った。

 中国共産党大会が開幕した18日前後は、北朝鮮が挑発に出る可能性もあるとの見方がある。今回、米軍は空母の頭脳といえる戦闘指揮所(CDC)を公開しなかったが、CDCでは24時間体制で監視の目を光らせているという。(米空母ロナルド・レーガンにて、森安健)

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