2017年11月22日(水)

中国のシェア自転車大手2強、合併案が浮上

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2017/10/20 6:30
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 急速に普及した中国のシェア自転車市場で大手2強の合併案が浮上している。「摩拝単車(モバイク)」と「ofo(オッフォ)」のブランド名で知られる新興企業2社だ。両社合計で市場シェアはすでに95%。合併すれば、中国市場を1社でほぼ独占する異例の事態となる。中国で同サービスが始まってまだ1年。シェアビジネスならぬ独占ビジネスだと、市民からはすでに批判の声も上がる。

シェア自転車を利用する中国の若者たち。大手2社が合併すれば、サービスの低下は避けられない…(9月、広東省広州市内)

シェア自転車を利用する中国の若者たち。大手2社が合併すれば、サービスの低下は避けられない…(9月、広東省広州市内)

 合併案が浮上しているのは、「モバイク」ブランドの北京摩拝科技(北京市)と「ofo小黄車」ブランドの北京拝克洛克科技(同)。発端は、中国で最も有名な投資家の一人であり、オッフォの董事(取締役)も務める朱嘯虎氏の発言だ。

 自ら投資会社を率い、オッフォの株主でもある朱氏がこのほど「(モバイクとオッフォの)両社は合併してこそ、初めて利益が上がる」とコメントした。

 この発言には伏線がある。朱氏は昨年9月、自らトップを務める投資会社がオッフォに追加の出資をした直後、「この(モバイクとオッフォの)戦いは3カ月後には終わる」と、将来の合併を匂わせる発言をして注目を集めていた。

 朱氏の発言が注目されるのは、過去の投資実績が大きく関係する。朱氏が率いる投資集団は、これまで中国の配車アプリ最大手「滴滴出行」や大手出前アプリ「餓了麼」など有名な新興企業に出資して成功させてきた。その手法はいずれも似ている。大手同士を合併もしくは買収で市場を独占状態に持ち込み、大きな投資利益を回収する方法だ。

 実際に朱氏が投資する滴滴出行は、テンセント系とアリババ系の企業が2015年に突如合併して誕生した独占企業。同じく投資する餓了麼も8月末、ライバルの百度(バイドゥ)系の企業を買収し、市場をテンセント系との2社の独占状態に持ち込んだ。

 こうした朱氏の投資対象企業での動きや最近の発言を受け、「モバイクとオッフォの両社の合併はもはや時間の問題になった」とする中国の報道も増えている。

 モバイクは、騰訊控股(テンセント)が大株主に名を連ね、オッフォはアリババ集団が大株主だ。そのためシェア自転車はテンセントとアリババの代理戦争の意味合いもあり、この1年間は激しく競い、シェア自転車の街中への大量投入を資金面から支援してきた。

 ただ、都市部ではすでに自転車の供給過剰で2社による戦いは消耗戦の様相を呈している。そのため朱氏は自身の発言力の大きさを理解した上で、利益を上げるために合併の正当性を匂わすコメントをし、合併に向けた雰囲気作りを始めたものとみられる。

 ただ消費者からは早くも反発の声が上がる。苦い前例と経験があるからだ。配車アプリ市場では15年、合併で誕生した滴滴出行が市場を独占したことで、利用料金は合併前に比べて最大で5割近くも跳ね上がった。

 シェア自転車でも、もしモバイクとオッフォが合併すれば「滴滴出行の時のようにサービスの低下は避けられない。絶対にやめてほしい」(広東省の40代の男性)と不満の声が上がる。

 そもそも市場の独占は独占禁止法で禁じられているが、過去、数々の合併・買収案件で市場の独占を容認してきた中国政府だけに、その判断が再び注目されそうだ。

供給過剰 トラブルも続出

 中国でのシェア自転車のサービスは昨秋、ブームに火が付いた。この1年間で約50社がシェア自転車のマーケットに参入し、激烈な競争を繰り広げてきた。

 30分当たりの利用料は0.5元(約8円)程度だ。乗り捨てが自由な便利さが受けて、利用者はすでに1億人を突破しており、全国には1600万台以上の自転車が配置されている。

 2017年4~6月期の市場規模は38億元(約660億円)にまで膨らんでおり、年率換算でみれば3千億円の規模まで成長した。

 しかし、あまりの競争の激しさから自転車の供給過剰が続き、すでに北京、上海、広州、深圳の四大都市では、追加の自転車の投入が禁止となっている。

 その影響もあって、経営状態が悪くなった企業も増えた。

 そうした企業の中には利用者が登録を取り消したくても、利用登録の際に徴収した保証金を返さないトラブルが続出しており、社会問題化している。

(広州=中村裕)

[日経産業新聞 2017年10月20日付]

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