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巨人や日本ハム… Bクラス球団の誤算と課題

今年のプロ野球もいよいよ最終章にさしかかっている。日本シリーズでも手に汗握るドラマが繰り広げられることだろう。その一方、多くのチームは既に来季に向けて動き始めている。一足先にシーズンを終えたチームの今季を振り返り、課題と浮上のカギを考えてみたい。

がむしゃらさ感じられず

ナインの士気を上げるような高橋監督の熱さを見たい=共同

まずはセ・リーグから。巨人は大型補強が実らず、まさかの4位に沈んだ。開幕から先発投手の頭数がそろわず、新戦力・陽岱鋼の出遅れなども響いて、5~6月にはチームワーストを更新する13連敗を喫した。夏場は巻き返したが、DeNAとのAクラス争いで息切れし、10年続いていたCS進出が途切れた。巨人にとってのBクラスは最下位のようなものだ。

とにかくチームに若さがない。主力の年齢が上がり、がむしゃらさが感じられなかった。9月18~19日、ナゴヤドームで5位の中日に連敗したのには目を疑った。この時点ではCS争いで優位に立っていたのに、気のないプレーの連続で自らポストシーズンを手放してしまった。こんなことはあり得ない。「チーム内で何かあったのか?」といぶかりたくなった。

資金力のある球団だからオフにはまた補強をするだろうが、その前に「仕分け」が必要だ。力が衰えているのに高額年俸をもらい続けるベテランが多すぎる。かつての功労者であっても執行猶予は無期限ではない。どういう若手を使って、どのようなチームづくりをしていくのか、しっかりと展望を描いたうえで非情な決断もやむを得ない。村田修一の自由契約はその始まりにすぎない。

3年目を迎える高橋由伸監督にも変化が必要ではないか。この2年は喜怒哀楽もみせずにスマートに指揮を執ってきたが、現実に結果が出ないと、チーム全体が淡泊な印象になる。時には監督が先頭に立ち、ナインの士気を上げるような熱さも見せてほしい。

若手の起用に一貫性は?

中日は京田(左)が遊撃に定着したのはせめてもの救い=共同

中日は明らかに人材が足りない。お金のある球団ではないから大型補強はできない。自前で育てるしかないのだが、若手の起用も行き当たりばったりという印象を受けた。世代交代が課題なのは5年ぐらい前から指摘され続けている。どうせ負けるのなら腹をくくって若手を使えばいいと思うが、先を見据えた「チームづくり」は今年も進まなかった。

新人の京田陽太が遊撃に定着したのはせめてもの救いだ。が、いまの中日に最も必要なのは中軸を打てるスーパースターだ。期待の高橋周平も残念ながら全くレギュラーに近づいていない。打撃コーチに就任する森野将彦がどうにかしてくれることを願うしかないか。

チームワーストの96敗を喫したヤクルトは故障者の多さに尽きる。川端慎吾、畠山和洋、雄平と主力が次々欠けては土俵に立つ以前の問題だ。故障はどれだけ気をつけても起こり得る。しかしこれだけ重なると単なる偶然とも思えない。根本的な問題があるのではないか。球団が責任をもって、コンディショニングに取り組んでいくほかない。

パ・リーグでは昨年日本一の日本ハムが借金23の5位に沈んだ。大黒柱の大谷翔平がケガで機能しなかったのが最大の誤算だろうが、大谷はこのオフ、ポスティングでの大リーグ移籍が濃厚だ。「大谷ロス」にならないためには戦力の再整備が急がれる。

日本ハムには中田の不振も痛かった=共同

ドライすぎると悪影響も

中田翔の不振も痛かった。打率2割1分6厘、16本塁打、67打点とは重症だ。技術うんぬん以上に自分自身に嫌気がさし、気持ちが切れているのが見てとれた。こうなると自信を取り戻すところから始めるしかない。大減俸をのんで責任を取り、気持ちをリセットして来季に向かうということだろう。フリーエージェント(FA)の権利も取得しているが、厳しい現実から逃げないでほしい。

日本ハムはシーズン後半、ベテランの谷元圭介やルイス・メンドーサを放出し、来季に向けたチームづくりを始めた。合理的な選択ではあるが、このへんをドライにやりすぎると、選手のモチベーションに悪影響を及ぼしかねない。もちろんプロである以上、移籍は仕方ない。だが谷元のようにオールスターに出た選手まであっさり放出されてしまうと、選手やファンは寂しさやむなしさを感じる。合理的であることと感情的に納得できることは別物だ。フロントは露骨になりすぎないような配慮が必要だと思う。

借金33で最下位となったロッテも明らかに戦力が不足していた。ワールド・ベースボール・クラシックに出場した石川歩が3勝11敗、涌井秀章も5勝11敗。2枚看板でこれだけ負けてはなすすべがない。監督に就任した井口資仁の手腕に期待がかかるが、球団が戦力の整備に本腰を入れないことには来季も苦しい戦いとなる。数年単位の時間がかかるかもしれない。

「弱いなら弱いなりの野球」

今季の楽天は昨年の5位から3位に躍進した=共同

春先健闘していたオリックスは終わってみれば4位だった。助っ人たちを含め打線はそれなりに打っていたので、投手力さえ整備すれば十分に戦える。パのBクラスでは来年最も巻き返しが期待できるチームだ。

僕がプレーしていた2009年の楽天は前年の5位から2位に躍進した。当時の野村克也監督が繰り返していたのは「弱いなら弱いなりに野球をやれ」ということ。ナインの野球への取り組み方、考え方が徐々に変わり、勝ちが積み重なるうちに、ソフトバンク相手でも負ける気がしなくなった。

戦力が劣るからといって、なぐられっぱなしになるだけではプロではない。負け癖がつけば一層淡泊になる。弱いなりに勝ちを拾っていくこともプロの腕の見せどころなのだ。

(野球評論家)

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