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ラグビー界発展へ欠かせない選手自身の「声」

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2017/10/20 6:30
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僕も日本代表の一人として参加した2015年のラグビー・ワールドカップ(W杯)では、選手たちを中心に「自分たちが置かれている環境について自分たちから発信をしていくことが重要だ」と話し合っていた。長期的な体調管理などのテーマについて、選手側と日本ラグビー協会との対話も始めた。

W杯では初の3勝という誰もが予想しなかった結果となった。さらに19年W杯日本大会やスーパーラグビーへの参戦などでラグビー界の環境は一変した。選手が様々な場面で不利益を被らないよう、引き続き協会と対話する機会を求めた結果、月に1度、オフィシャルではない形だが話し合いが行われることになった。様々な部分で改善に向かっていると思う。

19年W杯日本大会やスーパーラグビーへの参戦などでラグビー界の環境は一変した=共同

19年W杯日本大会やスーパーラグビーへの参戦などでラグビー界の環境は一変した=共同

昨年、この話し合いを正式に進めることになり、協会の一部門としてアスリート委員会が誕生。僕が最初の委員長となり、現役の代表選手らとともにこの4月から本格的に動くことになった。

意見吸い上げ環境を改善

これまで話し合ってきたことについて述べていく。まずは選手の体調管理のための試合数の制限。スーパーラグビー参戦で日本のスケジュールは過密になった。代表戦とスーパーラグビー、トップリーグの全てに出場すると年間40試合近くになる。これでは選手の健康を守れないので、出場数を減らすことを考えた。その結果、年間32試合程度に制限することになりそうだ。

2つ目は選手が移籍する際の手続きについてである。トップリーグで他チームの選手を獲得する際には、毎年のこの時期までに所属チームに通告しなければいけないといった規定がある。ただ、違反した際の罰則などはなく、グレーな部分が残る。このルールを明確にした方がいいという意見が出ている。

ここからは個人的な考えだが、ルールの隙間のようなところで移籍が行われると、引き抜かれた企業にとっては選手を雇用する意味が薄らぐ。企業がラグビーを支える意義が揺らぐことのないようにしなければいけない。

一方で、選手が不利益を被らないようにすることも大事。現在、移籍した選手は前所属チームからの文書がないと1年間、トップリーグに出場できない。移籍の際にチーム間に感情的なもつれが生じれば、文書が発行されないリスクが生じる。選手が試合に出られない状況をなくすためにもルールの見直しは必要ではないだろうか。

廣瀬俊朗氏

廣瀬俊朗氏

3つ目は女子選手の環境の改善だ。8月のW杯アイルランド大会で健闘した女子15人制代表の選手らに話を聞いたところ、強いチームとの対戦が事前にもう少しあればよかったということだった。また、年間の代表チームのスケジュールも整備されていない点があるようで、選手の所属企業の負担が増しているケースもあると聞いた。協会内の予算や人員の配置などの制約があるようだが、要検討事項である。

選手の名前や写真などを営利目的で利用する際の「肖像権」もテーマの一つ。現在は選手にとって制約が多い。日本代表のジャージーを着て個人で社会貢献活動をする際にも制限が生じる。代表のスポンサー企業の権利を守らないといけないことはわかるが、多くの人にラグビーに触れてもらうためにも、もう少し柔軟性があってもよいのではないだろうか。

代表選手の個人の名前入りのグッズをつくっていくのもよいと考えている。売り上げの一部は選手に還元してもいいだろう。必ずしも個人に分配しなくてもいい。日本ラグビーフットボール選手会に集めて普及活動に使ったり、選手の引退後のセカンドキャリアの支援に回したりする方法もある。

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