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フェイクニュースに揺れる米ネット企業 フェイスブックの言い分は?

【ラグナビーチ(カリフォルニア州)=中西豊紀】ロシアによる選挙介入にネット企業のサービスが使われたのか――。米国でこんな議論が盛んになっている。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が新聞やテレビのような役割を果たしつつあるなか、その社会的な責任を問う声は多い。米民主主義のあり方ともからみあい、しばらく論争は続きそうだ。

18日、Dライブで登壇したフェイスブックのマーカス氏(右)=カリフォルニア州ラグナビーチ

「引き続き配慮していきたい」。18日、米ウォール・ストリート・ジャーナルが開いたイベント「Dライブ」に登壇したフェイスブックのメッセージング製品担当副社長のデビッド・マーカス氏はこう話し、第三者によるサービスの悪用を未然に防ぐ努力を続ける考えを強調した。

フェイスブックに対しては、2015年から今年にかけてロシアがからんだ3000件超の「不正広告」が掲載されたことが明らかになっている。人種や性的少数者などにからむ社会分断をあおるような内容で、昨年の大統領選でトランプ氏の当選を後押ししたとの指摘もある。

米国では外国による選挙介入は犯罪だ。米メディアは「民主主義へのハッキングだ」として、広告掲載を未然に防げなかったフェイスブックへの批判を強めている。マーカス氏の発言はこうした動きを意識したもの。同氏は「新しいサービスを始める際は、それが意図せぬ形で使われないよう気をつけないといけない」とも述べた。

この日はニュースサイトなどを運営する「バズフィード」のジョナ・ペレッティ最高経営責任者(CEO)も登壇した。グーグルやフェイスブックといったネット企業について「彼らが(ニュースの)事実確認や深掘りの報道に収益を回さなければほかに誰がやるのか?」と発言、その上で「是正が必要だ」と話した。

閲覧者が多いグーグルやフェイスブックは「プラットフォーマー」と呼ばれ、バズフィードなど新興メディアはそこでの発信を通じてユーザーを獲得している。米国のデジタル広告市場の約6割をグーグルとフェイスブックが占めるとされるなか、その還元を求める声は増えている。

議会での規制論もあるなか、ネット企業を巡る論調は厳しさを増すばかり。とはいえ、外部の指摘をただ受け入れるわけでもなさそうだ。マーカス氏は「フェイスブックは毎月20億人ものユーザーが使うサービス。時には悪いことも起きる」と発言。さらに「災害時の安否確認など我々の有用性が無視されている」とも述べ、やまない批判へのいらだちをにじませた。

この問題には既存メディアと新興メディアの対立構図も含まれており、議論はひとつに収れんされにくい。バズフィードのペレッティ氏は「有権者のことを考えれば、限られた購読者に頼る(既存の)メディアは広範な支持を得られない」と指摘。ロシアの不正広告などいわゆるフェイクニュースの問題はネットで無料ニュースを見る層のことまでを考えなければ解決は難しいと話した。

フェイスブックは1000人規模で人を雇い、人工知能(AI)に頼りがちだった広告の精査を強化する考え。だが付け焼き刃の対応で問題が解決するわけでもない。ペレッティ氏は「民主主義への大きな問いかけだ。ニュースのビジネスモデルが変わってきている」と話す。日本でもやがて起きうる論争が米国で今、始まっている。

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