2017年11月24日(金)

関西の城 夜も楽しむ ミライザ大阪城19日開業

関西
2017/10/19 2:00
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 大阪城(大阪市)、姫路城(兵庫県姫路市)など世界的に知られる歴史遺産がある関西で城を夜の観光の目玉にする取り組みが広がっている。大阪城で19日、夜も天守閣が間近に見えるレストランを核とした観光施設が開業。姫路城は夜間に大規模イベントを開く。訪日客が増える中、日本は海外の観光地に比べて夜の楽しみが少ないとされ、夜の観光消費や宿泊客の増加につなげる。

ライトアップされた天守閣を間近で一望できる屋上テラス(大阪市のミライザ大阪城)

ライトアップされた天守閣を間近で一望できる屋上テラス(大阪市のミライザ大阪城)

 夜のとばりが下り、歴史的建造物の屋上でバーベキュー。肉をほお張りながら目の前に見るのはライトアップされた大阪城天守閣――。そんな観光が可能になる。

 大阪城の本丸広場で19日、午後10時まで営業する新たな観光拠点「ミライザ大阪城」が開業する。屋上では来春から夜間もバーベキューができるようになる。

 市から大阪城公園の管理運営を受託する大阪城パークマネジメント(大阪市)が天守閣に近接する歴史的建造物「旧第四師団司令部庁舎」を18億円をかけ改装。イタリア料理店やフランス料理店、土産物店、忍者体験ができる店などが入る。

 4000万円を投じて照明設備を設置し、年内にも桜門付近の石垣や極楽橋、青屋門など12カ所の夜間ライトアップを開始。新施設までのアクセス道を明るく照らし、「公園内を回遊できるようにしたい」(大阪城パークマネジメントの木下健治社長)。堀の外から本丸広場付近まで観光客を乗せる「エレクトリックカー」の運行時間は19日から午後8時まで延長する。

 同社は6月、同城近くに飲食店など約20店舗が夜も営業する商業施設「ジョー・テラス・オオサカ」もオープンした。

 天守閣の2016年度の入場者は過去最高の255万人。しかし観光バスの平均滞在時間は1時間半で「飲食や娯楽施設が周辺に少なく観光客が天守閣を見学したらすぐに帰ってしまう」(木下社長)のが課題だった。

 世界遺産の姫路城がある姫路市は11月10~26日に城を活用した夜間イベントを開く。全長約240メートルの西の丸・百間廊下を夜間初公開にしてアート作品を並べ、ライトアップして幻想的な空間をつくり出す。午後9時まで見られる。同市観光振興課は「1日1500人、期間全体で2万5000人以上に来てもらいたい」と意気込む。

 旅行口コミサイトのトリップアドバイザーが8月に発表した「旅好きが選ぶ!日本の城ランキング2017」で1位に姫路城、5位に二条城(京都市)、19位に大阪城が入るなど関西は城の宝庫。地域活性化のコンサルティング事業を手掛ける合同会社フォーティR&C(東京・文京)の水津陽子代表は「日本のお城は見学しておわりのモノ観光にとどまってきた。今回の大阪城の取り組みのように工夫次第で(体験を楽しめる)コト観光化できる余地が大きい」と指摘する。

■夜の観光強化 宿泊増のカギ

 観光客の「日帰り」は観光地の悩みの一つ。姫路市が姫路城の夜観光を強化するのは宿泊を伴わない日帰り客が多いためだ。市の推計によると、2016年度に姫路城を訪れた211万人のうち、市内に宿泊したのはわずか16%にとどまる。

 観光庁によると、16年に観光・レジャー目的で関西を訪れた外国人の平均泊数は4.1泊、1人あたりの平均消費額は4.6万円だった。泊数、消費額ともに関東(4.8泊、6.8万円)を下回った。夜観光の充実で、泊数や消費額はさらに増える余地がある。

 大阪府は訪日客が夜に観光する受け皿整備を後押しするため、夜の舞台公演を行う事業者などへの補助制度「ナイトカルチャー発掘・創出事業補助金」を創設。経費の半額以内を1件あたり500万円まで補助する。

 JTB西日本は9月、大阪のキタとミナミのナイトクラブ10店の訪日客向け共通入場パス(価格は3日間有効で3500円)を発売した。担当者は「大阪のナイトクラブの情報はほとんど訪日客に届いておらず、日本の夜の魅力を知る機会を逸している」と話す。

 大阪観光局の溝畑宏局長は「観光客を24時間おもてなしできる体制を整えれば、観光消費の一層の拡大につながる」と期待する。

(田村城、下前俊輔)

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