神鋼不正、欧米当局も関心 出荷先確認や注意喚起
神戸製鋼所のアルミ・銅製部材のデータ改ざん問題で欧米当局も関心を示し始めた。欧州航空安全機関(EASA)は域内で運航する航空会社などに安全確認を注意喚起し、米司法省が問題の製品を使用する米企業のリストの提出を神鋼に求めている。日本の自動車メーカーなどとの安全性の確認作業は大詰めを迎える中、海外でも神鋼への不信が強まっており、神鋼にとって信頼回復にはなお時間がかかりそうだ。
EASAは欧州域内の航空の安全規則などを担う欧州連合(EU)の専門機関。日本の国土交通省航空局に相当する。17日付でさらなる情報が明らかになるまで(1)神鋼の製品がどこで使われているかサプライチェーンを確認する(2)関係者は当局に神鋼製の部品の使用状況を報告する(3)代替製品を生産できる企業がある場合は、神鋼製品の合法性が確認できるまで使用を停止する――などの注意喚起を関連業界に促した。
EASAの今回の注意喚起が直ちに神鋼の事業に打撃を与えるわけではないが、エアバスを抱える欧州の航空業界で神鋼のブランド価値が毀損する可能性も出てきた。
米司法省も関心を示している。神鋼は16日に米国の顧客に販売した不適合製品に関する資料の提出を求められた。米司法省は問題のアルミ製部材などを使用している企業や製品名などのリストの提出を求めている。
調査の結果、悪質性があると判断された場合には、実際の捜査に乗り出す可能性もある。トヨタ自動車のリコール(回収・無償修理)や欠陥エアバッグのタカタ問題では米国議会が公聴会が開いて、独自調査したケースもある。神鋼の製品で具体的な被害は確認されていないが、調査の進展次第で制裁金が科される可能性もある。
神鋼のアルミ製部材などのデータ改ざん問題では、問題の製品が供給された企業が国内外の約500社に広がっている。神鋼はトヨタ自動車などの自動車メーカーや航空機メーカーなどの顧客と安全性能の検証を急いでおり、月内をメドに検証結果を公表する。