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パが優勝トロフィー新調 彫刻家・名和氏プロデュース

2017/10/19 6:30
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プロ野球はクライマックスシリーズ真っただ中。パ・リーグはソフトバンクが2年ぶりにリーグ制覇し、日本シリーズ進出をかけてファイナルステージに臨んでいる。その本拠地ヤフオクドームの「王貞治ベースボールミュージアム」に優勝トロフィーが展示されている。

優勝トロフィーを受け取る工藤監督=共同

優勝トロフィーを受け取る工藤監督=共同

パ・リーグは今年、1950年の発足当時から使用してきたトロフィーを新調した。2代目をプロデュースしたのが彫刻家の名和晃平氏だ。9月23日の優勝セレモニーで金色に輝くトロフィーが工藤公康監督の手に収まった。

初代は台座を含めて65キロもの重量があり、例年山車のように引っ張ってお披露目されていた。古くなったことに加え、「掲げられるものを」と、昨年からリーグが検討。セ・リーグのトロフィーが米宝飾ブランドのティファニー製であるように海外ブランドにする案もあったが、「日本のトップで世界に通用するアーティストにお願いしよう」(リーグ関係者)との意見でまとまり名和氏に依頼。快諾を受けて制作がスタートした。

名和氏は様々な素材とテクノロジーを駆使して彫刻の可能性を広げ、国内外で高い評価を受けている。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた文化プログラムのひとつ「東京キャラバン」にも参加。「オファーの相談があったとき、小学校のころに地元の野球チームに3年間所属していたことを思い出した。大変光栄に思った」と話す。

最先端技術と伝統的技法を融合

完成まで1年の期間を要したトロフィーは野球の投打の動きや「パシフィックオーシャン」の波しぶきをイメージした。人間の動きをコンピューターで測定して3次元データにしていくモーションキャプチャーの技術を取り入れ、「投げる」「打つ」を再現。その動きを積み重ねたという。漆が塗られ、金箔も押されるなど日本の伝統工芸もちりばめられている。台座には毎年優勝チームが刻印されていくという。

彫刻家の名和氏が新トロフィーを手掛けた=Nobutada OMOTE/SANDWICH提供

彫刻家の名和氏が新トロフィーを手掛けた=Nobutada OMOTE/SANDWICH提供

これまでの「勝利の女神」のモチーフも引き継がれた。「1代目にはニューヨークの自由の女神にも似た女神が象徴的に立っていて、そのたたずまいはどこか不思議な感じがした。日本の社会、あるいはプロ野球選手がどのように戦後のアイデンティティーを獲得していったのだろう、と想像を巡らせながら制作を進めた」と名和氏。

また、「スポーツのリアルな動きをそのまま造形に取り入れられないか、という発想が第一にあった。最先端の技術と伝統的な技法を融合させることで、新しさと普遍性を同時に成立させたかった。コンセプトを立ち上げて形を組み合わせ、全体のバランスを整えるのにかなり時間を割いた」と完成までの苦労を語る。

リーグ関係者は「華やかでユニーク。50年持つものを作りたいという願い通りになった」と感想を語る。スポーツと文化、さらにはテクノロジーの融合という観点でも今回の取り組みは意義があるという。「スポーツと芸術は産業として潜在力があり、両輪となって成長できる分野。名和さんと組んだことでその可能性を示せたのではないか」。リーグの願いが形となった"作品"といえそうだ。

(渡辺岳史)

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