2017年11月21日(火)

米の対中圧力にリスク
「北朝鮮」契機に制裁合戦も

コラム(国際・アジア)
中国・台湾
北米
The Economist
(1/2ページ)
2017/10/18 6:30
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The Economist

 戦争は武器で戦われるが、お金でも戦われる。今後数十年の世界のパワーバランスを理解するには、北朝鮮危機の経済的なサイドストーリーに注目することが役に立つ。米国は中国の企業と銀行が国連と米国の制裁を破ることで北朝鮮を支えていると見ており、今回初めて、司法と金融の力をフル活用して、こうした企業の行動を変えようとしている。米国の一部の政治家は、中国企業は世界経済に統合されたことから、米政府の怒りに弱くなったと結論付けている。確かに米国は強力な武器を持っているが、問題は、中国が破壊的な形で報復できることだ。

 北朝鮮は中国に大きく依存している。貿易の6~9割は中国が相手だ。中国国営の巨大エネルギー企業、中国石油天然気集団(CNPC)は近年、北朝鮮に石油を売ってきたと考えられている。そのCNPCは、ニューヨーク市場に米預託証券(ADR)を上場している中国石油天然気(ペトロチャイナ)の親会社だ。また、北朝鮮の銀行と企業は中国で営業しており、中国の銀行はこれらの北朝鮮企業やその代理組織と取引してきた可能性が高い。

トランプ政権は中国への圧力を強める(9月25日、北京で中国の李克強首相=右=と会談するロス商務長官)=AP

トランプ政権は中国への圧力を強める(9月25日、北京で中国の李克強首相=右=と会談するロス商務長官)=AP

 米国が数カ月圧力をかけた末、9月21日には中国の中央銀行が国内の金融機関に対して北朝鮮との新規取引を停止するよう命じたと伝えられた。だが、米財務省はまだけんか腰だ。9月26日には中国で働く北朝鮮の銀行関係者19人と北朝鮮の8企業を新たに制裁対象に加えた。米財務省は内々では米国に自己資本総額の14%に相当する合計1250億ドル(約14兆円)の資産を保有している中国の大手金融機関を痛烈に批判している。9月28日には上院の委員会が中国の銀行に対する取り締まりの強化を要求した。

■処罰を免れてきた中国企業

 米国の規制当局や裁判所によるこのような法規制の域外適用は、国際ビジネスの特徴となっている。問題の企業が米国で証券を発行していたり、米国に子会社を持っていたり、ドル建てで電子取引を行っていたりすれば、どこであろうと米国によって不正行為が処罰されうるのだ。米国は過去10年間に、株式時価総額で欧州最大の企業50社のうち8社を制裁違反、18社を汚職疑惑で追及した。2001年9月11日の米同時多発テロの後には、グローバルなドル決済システムを取り締まる対策を強化した。

 米国はイランへの制裁を強硬に遂行した。欧州の金融機関はイラン制裁関連で130億ドルの罰金に直面し、仏BNPパリバと英スタンダードチャータード銀行はもう少しで米国での事業免許を失うところだった。実際に免許をはく奪されていたら、両行は恐らく廃業に追い込まれていただろう。

 1年前まで中国の大手企業はこうした処罰を免除されていた。米国はおそらく、貿易戦争を始めることに不安を抱いていたのだろう。米国が13年にイランと取引していた小さな中国企業4社に制裁を科したときには、中国外務省から猛烈な反応が返ってきた。一部のケースでは、米政府の寛容な態度は明白だった。15年には国有銀行大手の中国建設銀行のニューヨーク支店が米連邦準備理事会(FRB)の審査で資金洗浄(マネーロンダリング)防止対策に不備があると断定されたが、大目に見ることにされた。

 14~15年には中国農業銀行のニューヨーク支店が十分な審査をせずに1千億ドル以上の決済を処理したが、米当局から科されたのは、2億1500万ドルという形ばかりの罰金だった。米ゴールドマン・サックス出身で後に米財務長官になったヘンリー・ポールソン氏の回顧録によれば、ペトロチャイナが00年にニューヨークで上場したときには、スーダンの資産をCNPCに移管することで制裁を回避したという。

■3月に雰囲気が急変

 ところが今、「中国株式会社」は格好の標的のように見える。数百を数える企業が米国に証券を上場している。中国は汚職がまん延しており、北朝鮮だけでなく、やはり米国から制裁を科されているイラン、シリア、キューバの大きな貿易相手国でもある。

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