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花粉症、スマホで遠隔診療 ネクストイノベーション
患者と医師、チャットでつなぐ

2017/10/16 23:30
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 ヘルスケア関連のスタートアップ企業、ネクストイノベーション(大阪市)はスマートフォン(スマホ)を通じて花粉症患者を診療するサービスを来春に始める。同社と契約した医師がチャットで診療し、病院から治療薬を自宅に届ける。仕事や住む場所などの都合で通院が難しい患者と、空き時間を活用したい医師のニーズを取り込む。

 ベンチャーキャピタル(VC)2社から7500万円の資金調達に成功した。大阪市のスタートアップ企業育成プログラムで今秋に全課程を修了した3期の企業10社のうち、現時点で最高の調達額だ。3千万円をシステム改良に、2千万円を広告宣伝費にあてる。

 新サービスでは同社と契約する全国の医師(現在は約50人)が「去年まで何の治療薬を使っていて、その効き目は?」「過去のアレルギー検査の結果は?」といった問診をチャットで行う。

 保険適用外の自費診療で、14日分の薬を処方する場合は薬代や薬の配送料を含め2500円から。1シーズン(3カ月)分の処方プランは9000円から。うち一部を同社が手数料、医師が診察料として受け取る。治療薬は契約医師が所属する医療機関が院内で処方し、宅配便などで届ける。

ベンチャーキャピタル関係者と面談するネクストイノベーションの石井社長(左)(7月、大阪市)

ベンチャーキャピタル関係者と面談するネクストイノベーションの石井社長(左)(7月、大阪市)

 仕事で忙しい都市部の患者らはスマホさえあれば夜間や空き時間に受診できる。自分の電子カルテを閲覧することも可能。患者は診療してほしい医師を選ぶことができ、相談に応じる力や問題解決力といった観点から医師を5つ星で評価する仕組みも導入する。

 石井健一社長は「(評価機能で)患者は医師を選ぶ判断材料を得られ、医師がより丁寧な診療を心がける効果も期待している」と話す。

 医師は空き時間を使って新規の患者を獲得できる。同社は契約医師数を2020年に5000人に増やす計画だ。

 同社は16年設立で、男性型脱毛症などをターゲットに遠隔診療を進めてきた。VCからの資金調達をテコに国民の4人に1人が悩んでいるとされる花粉症の遠隔診療に乗り出す。「将来は生活習慣病の診療を主要事業にしたい」(石井社長)としており、22年6月期に売上高30億円を目指す。

■「対面」との組み合わせ重要

 遠隔医療は患者が通院する手間を省き、医療の効率化につながるとされる。糖尿病や高血圧など、問診を中心に常用薬を処方するような生活習慣病が代表的だ。触診の必要が少ない他の疾患などでも利便性向上が期待されている。

 生活習慣病の増加などを背景に、遠隔診療の市場は拡大する見通しだ。市場調査会社のシード・プランニング(東京・文京)は2020年に関連サービスの市場規模が192億円と16年の約2.5倍に達すると試算している。

 同分野で先行するメドレー(東京・港)はテレビ電話を通じて診療するシステムを600以上の医療機関に提供している。「症状が安定した慢性疾患の患者がかかりつけ医に通う必要がなくなるため、導入する医療機関が増えている」(同社の担当者)という。

 ただ、日本遠隔医療協会の長谷川高志特任上席研究員は「(別に潜む病気の発見など)医療の質を確保するには対面診療が必要なケースもある。参入企業には慎重なビジネスモデルを求めたい」と注文する。

 厚生労働省は15年の通知で遠隔医療を事実上解禁したが「対面診療と適切に組み合わせて行う」との文言を盛り込んだ。ネクストイノベーションは医師が対面診療の必要性を指示したのに従わない患者に対しては、サービスを利用できないようにする考えだ。

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