狙うは「アスレジャー」 スポーツ靴もモード競う時代
よくわかる スポーツシューズ(3)

ここ数年スポーツシューズはさらに身近になっている。スポーツで使うだけでなく、ファッションとして街歩きで履きこなす消費者が増加した。米国発の「アスレジャー」の流行で、クラシックな服装にスニーカーを合わせるスタイルも定着してきた。
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アスレチック+レジャー=アスレジャー
アスレジャーはアスレチック(運動)とレジャー(余暇)を意味する造語で、日常的にスポーツウエアやシューズを身につけるファッション習慣だ。米国では2020年にアスレジャー市場が約1000億ドル(約10兆円)になるとの予測もある。米国に続いて日本国内でも流行している。
ファッション性の高いスニーカーで先行しているのがニューバランスだ。そのニューバランスが「30年後の定番スニーカーに」と意気込んで2017年3月に発売したのが「ML1978」だ。「テクノロジーとクラフトマンシップを融合した」と同社マーケティング部ライフスタイルカテゴリーリーダーの野間祐子氏は話す。
デザインはニューバランスの主力モデル「990」を継承した。つま先のメッシュ部分と側面の「N」のプリントが代名詞のシンプルな作りだ。990は1978年から4年かけて開発され、発売以降30年にわたって定番スニーカーとして存在してきた実績がある。
990は30以上のパーツを組み合わせていたが、ML1978は1枚革を加工して作製している。余分な縫製を取り除いて軽量化を実現。米国内の工場で、ベテランのクラフトマンがひとつひとつ手作りで仕上げているという。ソール部分はEVA素材を使用。独自配合のEVAを板状にし、熱を加えてソール状に膨張させる製法を採用した。「軽量性と耐久性を両立させた」(野間氏)
人気ブランドとのコラボも
各メーカーもファッション面でも消費者の心をつかもうとさまざまなサービスを打ち出す。

アディダスは女性に人気のファッションブランド「マウジー」とコラボレーションしたアイテムを2月に発売。リーボックは1番人気のスニーカー「インスタポンプフューリー」の配色やデザインを自由に組み合わせるインターネット上のサービスを展開している。
ナイキは90年代に人気を博したモデル「エアマックス」の誕生30周年を記念し、社外クリエーターと共同で新製品を開発する。人気ファッションブランド「マジックスティック」デザイナーの今野直隆さんらと組む。
今野さんらとの共同制作のエアマックスを3月からネットで公開している。ユーザーの投票で選ばれた1足を2018年に発売する。市場拡大を受けて各メーカーの競争が激しくなる見通しだ。
[日経産業新聞 2017年3月29日付を再構成 ]
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