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つみたてNISAの違和感(一目均衡)

証券部次長 山下茂行

積み立て型の少額投資非課税制度、いわゆる「つみたてNISA」の口座開設手続きが今月、始まった。「貯蓄から投資」の推進役と期待されるが、この新制度に対して「違和感」を訴える声が運用業界から出ている。

NISAは、株式や投資信託から得た利益が一定期間は非課税になる制度だ。つみたてNISAは、税制優遇の対象を金融庁が選んだ投信だけに絞り、非課税の期間がさらに長い。

「長期の積み立て投資」の後押しを狙いとし、販売手数料がゼロ、かつ運用コストである信託報酬の低い投信が対象になる。長期投資では、運用コストが成果に与える影響が大きいとされるからだ。

選別の基準は厳しい。日本株投信なら、信託報酬は株価指数に連動するインデックス型で0.5%以下、指数を超える運用成績をめざすアクティブ型で1.0%以下を求める。企業調査の手間がかかるアクティブ型が、この基準を達成するのは難しい。

13日時点で適格となっている114本の投信のうち、インデックス型が100本と9割弱を占める。アクティブ型は14本(12%)にとどまり、日本株で運用するタイプは6本しかない。

ここが議論の分かれるポイントだ。コモンズ投信の伊井哲朗社長は「つみたてNISAは投資未経験層の呼び込みを狙った特別な制度。仕組みが簡単で信託報酬も低いインデックス型の投信を軸にして、長期の分散投資を促す意味は大きい」とみる。賛成派の言い分には一定の説得力がある。

それでも、と懐疑派は指摘する。「信託報酬は運用成績を左右する一要素にすぎない。そればかりにとらわれると、結果として優良な投信を排除してしまう」(大手運用会社OB)

投信分析のデータベース、モーニングスター・ダイレクトを使い、公募投信の過去20年の運用成績(分配金を含む)を調べた。

インベスコ・アセット・マネジメントの「インベスコ店頭・成長株オープン」、三菱UFJ国際投信の「JASDAQオープン」、ベアリングス・ジャパンの「アジア製造業ファンド」などが上位に入った。

いずれも年率のリターンが10%を超える優良な成績を続けている。それなのに販売手数料や信託報酬が引っかかり、つみたてNISAの対象になっていない。

「インデックス投信の長期積み立てが、唯一絶対の投資手法だと誤解されないか」「高齢者に長期投資はそぐわないし、投資家のニーズはそれぞれ違うはず」。運用業界には、こんな声が少なからずある。

銘柄を選別しないインデックス投信ばかりになれば、上場企業に対する市場の規律付けの機能は弱まる。そもそも投資の大原則は自己責任なのに、行政が商品選びにまで細かく立ち入っていいのかという疑問もある。違和感の根は深いようにみえる。

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