広島県熊野町 「筆の都」交流の拠点に

2017/10/17 1:00
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伝統工芸品「熊野筆」の産地、広島県熊野町。伝統産品を生かした観光振興策を進める一方、近年は県内都市部のベッドタウンとしての魅力も高めている地域だ。三村裕史町長に、人口減の対策や熊野筆を生かした地域活性化策を聞いた。

――「筆の都」を掲げています。

「熊野の筆作りは江戸時代末期から続く長い歴史を持つ。現在も熊野筆作りに従事している人口は2000~2500人ほどいるとされ、町の人口の約1割を占める。名実ともに今も町の基幹産業で、他地域の伝統産業と比べても珍しい例だ。熊野筆は昨年のG7広島外相会合の記念品に採用されたほか、オバマ前米大統領が広島に来た際にも贈呈した。欧米でも高く評価されている町の伝統技術だ」

――熊野筆を生かした町づくりや観光振興が課題です。

「熊野筆の展示施設『筆の里工房』周辺の再開発に取り組む。筆の里工房は1994年に開館し観光客も多く訪れていたが、ここ数年は来場者数が年7万~8万人程度と頭打ちになっていた」

「工房周辺に新たに筆を使った絵画や書道の体験施設、飲食施設を整備するなど、観光交流拠点としての機能向上を目指す構想を練っている。観光客のほか、町民の憩いの場としても多くの人が熊野の文化に触れ楽しめる施設にしたい」

――人口減の対策は。

「熊野町は広島市、東広島市、呉市の中間地点にありベッドタウンとして注目されている。2015年の国勢調査では5年前と比較した人口減少率は3.2%。県内23市町中、人口が減少した17市町の中で減少率は最少だった。13年度から始めた子育て世代の住宅取得に関する補助金『住むならくまの』の下支え効果が大きい。16年度までの4年間で289世帯が活用しており、町内の定住、町外からの移住促進に貢献している」

「加えて教員補助職員の採用など学校教育の質向上にいち早く取り組んできた。近年は小学校、中学校の学力調査は県23市町内でトップクラスに入っており、子育て世代の人気を集めた」

――教育分野にも熊野筆は生かしていますか。

「筆の都ならではの教育方針として、通常は小学校3年生から習う書道の授業を、熊野町では小学校1~2年生から設けている。町の伝統産業に小さいころから慣れ親しんでほしい」

「今後は町外、県外の学生にも熊野筆について学ぶ機会を増やしていきたい。町内には宿泊施設がなかったが、来春までに旧西公民館を改修し、移住・定住情報発信や就業、子育て支援などを担う多機能施設を整備する。施設の一部は簡易の宿泊施設として使えるようにする予定で、社会見学や宿泊学習の学生の受け入れにも活用したい」

(聞き手は広島支局佐藤亜美)

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