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課題あれど効用も CSがタイトル争いを正常化
編集委員 篠山正幸

2017/10/17 6:30
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両リーグ6球団中、半数の3チームがそれぞれ出場できる安直さ、優勝チームの実戦感覚が鈍り、不利になりかねない日程など、課題があるプロ野球のクライマックスシリーズ(CS)だが、副次的な効用も見逃せない。タイトル争いの正常化がその一つだろう。

"消化試合"が大幅減

パ・リーグの首位打者に輝いた西武・秋山は143試合にフル出場した=共同

パ・リーグの首位打者に輝いた西武・秋山は143試合にフル出場した=共同

前身となったパ・リーグのプレーオフ(2004~06年)を含め、CS制度を採用して以来、いわゆる"消化試合"が大幅に減った。早々と優勝は決まってもCS進出がかかる3、4位争い、CSの本拠地開催権がかかる2、3位争いはペナントレース最終盤までもつれこむことが多い。

今季もDeNA―巨人の3、4位争い、西武―楽天の2、3位争いは最後まで予断を許さないものになった。当事者球団以外の「第三者」である球団も、こうした順位争いがからんだカードではベストメンバーで臨むことが、暗黙のうちに求められる。消化試合が減った結果、プロ野球の病巣となってきたお粗末なタイトル争いも、撲滅されてきた。

かつてのタイトル争いにはお金をとって見せるものではないといえるほど、ひどいケースがあった。

首位打者を狙う者が、トップの座を守るために欠場する、あるいは追いかけてくる選手を直接対決で敬遠攻めにして打たせないといったあざといやり方がまかり通る時代があった。

1999年10月5日。当時巨人の上原浩治(現カブス)は自軍の松井秀喜がからむ本塁打王争いのなかで、ヤクルトのロベルト・ペタジーニを歩かせるように指示され、涙を流した。

もともとヤクルトサイドが松井との勝負を避けており、その対抗措置という面があったが、上原にとって到底納得できるものではなかった。

この年は9月30日に中日が優勝を決め、それからあとの試合が消化試合となっていた。

CSがなかった当時、2位以下は全部負け組。AクラスとBクラスを分ける戦いには多少の意地とプライドがうかがえたとはいえ、多くの試合が勝ち負けへの執着が薄れる試合となった。

スタンドもあきれる奇策

セ・リーグの首位打者になったDeNA・宮崎も最後まで試合に出続けた=共同

セ・リーグの首位打者になったDeNA・宮崎も最後まで試合に出続けた=共同

98年、西武とロッテの間で起きた盗塁王を巡る争いも醜いものだった。松井稼頭央(現楽天)の盗塁王をアシストすべく、西武はライバルのロッテ・小坂誠が出塁すると一塁けん制悪送球。二塁に進塁できたはずの小坂は動かない。二盗のチャンスを残したかったものと思われる。すると西武はボークという奇策に出た。これでは小坂も、いや応なく二進せざるを得ない。タイトルのためにそこまでするか、とスタンドもあきれるばかりだった。

けん制悪送球もボークも、たまたま出てしまったミスと言い張ることはできる。走者側が進塁しなかったことについては「二塁に行けないと判断した」といえば、それ以上は追及できないかもしれないが、ファンからすれば不可解な挙動にみえたことだろう。

こうしたあからさまな勝負回避、休養作戦、敗退行為につながりかねないプレーが減っただけでも、CSの効用は大きいといえる。

14年、オリックスの糸井嘉男(現阪神)と楽天の銀次による首位打者争いのなかで、四球攻めや打率首位に立った側の欠場という、残念なシーンもみられた。しかし、今季の首位打者争いでは西武・秋山翔吾は143試合にフル出場、DeNAの宮崎敏郎も最後まで試合に出続け、ともに文句なしのタイトル獲得となった。その昔からするとタイトル争いははるかに健全化された。

願わくは正々堂々のタイトル争いが、CSという制度によって強制されてのものでなく、選手、ベンチを含めたプロ野球関係者の当然の心得として定着したものであらんことを――。

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